【わざわざ行きたい店】フィレンツェで出会った花文化を大刀洗町へ。『花売処かすみ庵』が届ける季節の彩りと地域に寄り添う小さな花屋のかたち(福岡・大刀洗町)【まち歩き】
福岡県三井郡大刀洗町。田園風景が広がる町の一角に、『花売処かすみ庵』はあります。
店先に並ぶ季節の花。和の雰囲気を取り入れた落ち着いた空間。花屋でありながら、初めて訪れてもどこか親しみを感じる佇まいです。
店を営むのは、福山あゆみさん。2022年4月にオープンし、この春で4年を迎えました。
「この辺りにお花屋さんがないっておっしゃる方がすごく多くて。あって助かったというお声もすごくいただきますね」。
大刀洗町だけでなく、隣町から訪れる人もいます。花を買うために立ち寄る人。フラワーアレンジメントレッスンに参加する人。定期便を頼む人。小さな店に、花をきっかけにした行き来が生まれています。
■花が好きな祖母と植えた花の記憶
福山さんと花の関わりは、幼い頃までさかのぼります。
きっかけのひとつは、祖母でした。花が好きな祖母と一緒に、幼い頃から花を植えることがあったといいます。
昔一緒に植えた花のことも、今でも覚えているそうです。
「ずっと身近にあったってわけではないんですけど、ずっとお花とは縁があったのかなと思ってます」。
短大では園芸科に通い、花や植物について学び、新卒で勤めた農協では、花農家との接点もありました。その後は和装業界での仕事も経験しました。
花、農業、和装。別々に見える経験が、今の店に少しずつつながっています。
■フィレンツェで見た、町に溶け込む花屋
花を学ぶため、福山さんはイタリア・フィレンツェにも足を運びました。
現地で受けた刺激は大きかったといいます。
町の中には花が多く、飲食店のテーブルにも小さな花瓶に生花が置かれていました。花屋だけではなく、町全体に花が溶け込んでいます。フィレンツェで見たのは、花が特別なものではなく、風景の一部になっている姿でした。
その感覚を、大刀洗町でどう表現するか。
福山さんが選んだのは、和の要素を取り入れることでした。
大刀洗町の田園風景に、いきなり洋風の花屋が建つと少し浮いてしまう。そう考え、町に馴染む店の形を探したといいます。
店内の床には畳を取り入れ、外には暖簾をかける。竹を使ったしつらえもあり、花屋でありながら和の空気を感じる空間になっています。
以前働いていた和装業界での経験も、店づくりに反映されています。和装で使う花の髪飾りを扱うこともあり、これまでの経験が今のかすみ庵につながっています。
町に合う花屋を考えた結果、今の空間ができました。
■スーパーでは見かけない花を並べる
店内には、生花やドライフラワー。
生花は、近隣のスーパーでは見かけないものを意識して選んでいるといいます。
この周辺には、いわゆる街の花屋が多くありません。そのため、スーパーの花売り場などでは出会いにくい花を置くようにしているそうです。
たとえば、2色使いのカーネーション。染色されたカスミソウ。色や形に少し驚きがある花。
売れやすさや使いやすさも考えながら、福山さん自身が惹かれる花も大事にしています。
扱っているのは、生花だけではありません。
ドライフラワーやリース、プリザーブドフラワー、髪飾りなども並びます。髪飾りは、和装の経験ともつながるものです。
花束を買う。家に飾る。式や祝いの日に身につける。
かすみ庵では、花との関わり方がいくつも用意されています。
■暮らしの中に花を置くきっかけに
現在は、花の定期便も人気です。発送、配達、来店受け取りなど、形はさまざま。予算に合わせて利用できます。
産休中も、定期便だけは続けていたといいます。その間にも、利用者から「頼んでおけばよかった」という声が届いていた。
家に花があることを必要としている人がいる。そのことを、定期便を通して感じたそうです。
希望に応じたアレンジメントレッスンも行っています。これまでには、ピラティス教室とのコラボレッスンなども行なったそうです。
花を買うだけではなく、触れて、選んで、手を動かす時間がある。
かすみ庵には、花との関わり方がいくつもありました。
■花が終わることは、次の季節の始まり
福山さんが花を渡すときに大切にしていることがあります。
それは、季節も一緒に渡すことです。
花は枯れる。けれど、福山さんはそれをただの終わりとは捉えていません。
「枯れたら、じゃあ次の季節だねっていう考え方で。季節によってお花をいろいろ楽しんでもらえたらなと思ってます」。
春の花が終わり。夏の花が出てくる。そして秋、冬へと変わっていく。
花が終わることは、次の季節が来る合図でもあります。
店名の「かすみ庵」にも、花へのまなざしがあります。由来は、かすみ草。小さな花が集まり、ほかの花を引き立てる花です。
大きな店でなくても、多くの人に親しまれ、気軽に立ち寄ってもらえる場所でありたい。そんな思いが、名前に込められています。
■花と本が並ぶ店へ
産休から復帰して間もない福山さん。今は少しずつ、以前の規模に戻しながら店を続けています。
今後について尋ねると、本の話が出ました。
自身が本好きであることから、花に関する本や、花が登場する小説を店に置くことも考えているといいます。図鑑や古本を並べる案もあるそうです。
店内で花を選び、本を手に取る。花を買うだけではない時間が生まれるかもしれません。
祖母と植えた花。フィレンツェで見た町の中の花。農協時代につながった農業の現場。そして、和装業界で触れた花飾り。
それぞれの経験が重なり、かすみ庵の今につながっている。
大刀洗町の道沿いに、今日も季節の花が並んでいます。
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◼️『花売処かすみ庵』
住所:福岡県三井郡大刀洗町山隈343
電話:080-5273-8632
営業時間:11:00〜18:00
定休日:水曜、日曜(前日までの予約制)
駐車場:あり
SNS:Instagram:@kasumian.flowers
https://www.instagram.com/kasumian.flowers/
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※情報は2026年6月2日時点のものです。最新情報は公式HP、Instagram等でご確認ください。
■ 花売処かすみ庵
住所:福岡県三井郡大刀洗町山隈343
Instagram:@kasumian.flowers
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