【週末おでかけ】老舗探訪!お遍路の町で愛されて85年。目指すは100年!店の命は4代目が舌で受け継いだ“すっと消える餡”『村嶋饅頭店』(福岡・篠栗町)【まち歩き】

福岡市内から車で約20分。篠栗駅からもほど近い場所に、昔ながらの饅頭店があります。
『村嶋饅頭店』。
創業はおよそ85年前。正確な年は、途中に戦争を挟んでいるためはっきりしないそうですが、現在は4代目の村嶋陽子さんが店に立っています。
店頭に並ぶのは、紅白饅頭、みそ饅頭、やぶれ饅頭、季節の大福や餅菓子。
篠栗といえば、お遍路の町。
今もお遍路ツアーのお土産として、村嶋饅頭店のお菓子が使われることがあるそうです。

ただ、この店を「昔から続く老舗」とだけ紹介してしまうと、大事なところを見落としてしまいます。

陽子さんが受け継いでいるのは、紙に残されたレシピではありません。しゃもじに残った餡を食べ、自分の舌で確かめながら覚えてきた味でした。


■ひいおばあちゃんから始まった饅頭店

村嶋饅頭店は、陽子さんのひいおばあちゃんの代に始まった店です。その後、祖父、父・孝男さんへと続き、現在は陽子さんが4代目として店を継いでいます。
この場所に店を構えて50年以上。陽子さんが店に入ってからは20年ほど、正式に継いでからは5年目になります。

小さい頃から店番もしていたそうです。

「普段は人とあまり話さないのに、店に出る時だけすごく話すねって言われていました」。

継ぐことを考えたのは、家業だからという理由だけではありません。お客さんや周りの人から「お店、続けてね」と言われてきたことも大きかったといいます。

現在は陽子さんとスタッフ2〜3人が中心。父母はすでに80代で引退していますが、時々、店に顔を出すこともあるそうです。

「仕事はさせないです。引退してねっていう感じで」。

今は、家族が続けてきた店を、陽子さんが自分の手で守っています。


■餡の味は、数字ではなく舌で覚えた

村嶋饅頭店の餡には、はっきりした特徴があります。

「食べた後に飲み物が欲しくなるような甘さではなく、口に入れた餡がすっと消えるような味を目指しています」。

陽子さんと父・孝男さんの味覚は、よく似ているそうです。二人とも、甘すぎる餡は好まない。何個でも食べられるような、重たく残らない甘さ。それが、この店の餡の基準です。

ただし、その味はレシピで受け継がれたものではありません。
砂糖や塩の量を、細かく教わったわけではないそうです。
父から言われたのは、しゃもじに残った餡を食べること。味を見て、覚えること。

陽子さんは、その味が本当に再現できているかを確かめるため、ある方法を取っていました。

「誰が作ったか言わずにお客さんに出して、その反応を見ていました」。

答えを持っていたのは、昔から通うお客さんでした。いつものように買っていく。違和感なく手に取ってもらえる。その積み重ねが、陽子さんにとっての確認作業だったのです。


■定番の饅頭に残る、村嶋饅頭店の味

店の定番として陽子さんが挙げてくれたのは、紅白饅頭、みそ饅頭、やぶれ饅頭。

みそ饅頭は、味噌を使った生地で白あんを包んだ一品。
やぶれ饅頭は、昔からのファンが多く、村嶋饅頭店らしい餡の味を楽しめる商品です。

中でも紅白饅頭は、長く親しまれてきた代表的な商品の一つ。陽子さんは、気温など環境の変化に対応しながらも、昔からのお客さんが食べ続けてきた味を大切にしています。

昔と同じように作るだけでは、同じ味にならないこともある。

だからこそ、その日の状態を見ながら調整を重ねる。老舗の味は、昔のまま置いておけば残るものではなく、時代や環境に合わせて守られてきたものです。




■篠栗の夏に並ぶ「がめの葉餅」

取材の日、陽子さんが「これは載せてほしい」と話してくれた商品がありました。
がめの葉餅。

篠栗では、夏に食べる風習がある郷土菓子です。もちもちとした生地の中につぶあんが入り、葉で包まれています。篠栗祇園夏まつりの時期や子どもの日にも食べられてきたそうです。

この時期になると、店頭にはがめの葉餅を目当てに訪れる人も増えます。家族で食べるために買う人、親戚の集まりに持っていく人、季節になると毎年買いに来る人。
饅頭店の商品でありながら、町の行事や家庭の食卓とつながっているのが、がめの葉餅です。

季節の商品も豊富です。1月から5月ごろまでは、人気のいちご大福。6月は、梅がある時期だけ仕込める「うめ福」。7月、8月はシャインマスカットを使った大福を予定しており、9月からは栗大福「米の山」が始まります。

暑い時期には、栗もなかアイスも登場します。



■新しい商品も、餡の味が土台にある

陽子さんが代を継いでから、大きな転機になったのがコロナ禍でした。
売上が落ち、それまでのやり方だけでは難しいと感じたそうです。新しい商品を出したい。ただ、昔から店を知るお客さんは、定番の饅頭を求めて来てくれる。
その間で、陽子さんは考えました。

「古きを守り、新しきを知る、という感じでやっています」。

いちご大福、うめ福、シャインマスカットの大福、栗もなかアイス。若い世代や観光客が足を運ぶきっかけになる商品も増えています。

一方で、餡の味は大きく変えない。そこを崩さないから、新しい商品も村嶋饅頭店の商品として並ぶのでしょう。

■町の人に選ばれながら、100年を目指す

「誰でも来てもらえる店かなと思います」。

その言葉の通り、店には昔からの常連だけでなく、Instagramを見て訪れる若い世代も増えています。
おじいちゃんが来る。その前には奥さんが来る。午前中には女子高生も来る。誰か一人に向けた店ではなく、町のいろいろな人が、それぞれのタイミングで立ち寄る店です。

陽子さんがこれから届けたいのも、単に饅頭だけではありません。ふるさと納税などを通して遠くの人にも味を届けながら、いつかは篠栗に足を運んでもらうきっかけにしたい。長く続いてきた店だからこそ、町と一緒に知ってもらいたいという思いがあります。

そして、店としての目標を聞くと、陽子さんは迷わず答えました。

「100年は続けたいです。100周年はやろうって思っています」。

あと15年ほどで、村嶋饅頭店は創業100年を迎えます。
しゃもじに残った餡を食べて覚えた味。作り手を意識せずに選ばれる、いつもの味。季節になると店頭に並び、町の風習とともに食べられてきた、がめの葉餅。

村嶋饅頭店の85年は、昔の味をそのまま置いてきた時間ではありません。町の人が食べ続け、4代目が確かめながら、次の季節へつないできた時間です。
篠栗を訪れた際は、ぜひ店頭に立ち寄り、その味を実際に確かめてみてください。



今回紹介した商品(税込)
・紅白饅頭 1個 130円 ・みそ饅頭 1個 130円 ・やぶれ饅頭 1個 130円
・がめの葉餅 3個入り 450円(季節限定) ・うめ福 1個 300円(季節限定)

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■『村嶋饅頭店』
住所:福岡県糟屋郡篠栗町中央4-16-2
電話:092-947-0203
営業時間:9:00〜17:00
※日曜などは商品が売り切れ次第、15:00ごろに閉店する場合あり
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)
駐車場:近隣に共同駐車場あり
支払い:PayPay利用可
Instagram:@murashima_manjyuu
https://www.instagram.com/murashima_manjyuu/
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※情報は2026年7月時点のものです。最新情報は公式Instagram等でご確認ください。

■ 村嶋饅頭店

住所:福岡県粕屋郡篠栗町篠栗4774-7
電話番号:092-947-0203
営業時間:創業70年の和菓子屋さん。手作り「わらび餅」をいただきました。

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