塩・醤油ラーメンの締めは鶏飯。「撰」(せん) ~ふるさとWish 岡垣町~ 豚骨戦士 福岡のラーメンを斬る! VOL.46

岡垣町「撰」の醤油ラーメン(650円)

今週のふるさとWishの舞台は福岡県岡垣町。ラーメンにおいては「撰」(せん)という、開業1年半の隠れた名店を紹介したい。場所は北九州から福岡方面へと向かう国道3号下り線「岡垣パーキング」内(上り線からはUターンが必要)。広い駐車場にトイレ、自販機のある一般道PAの一角。外観が控えめな装飾なのでうっかり見落としそうになるが、屋号の書かれたタペストリーが周辺に溶け込むようにかかっている。

魚介要素を主張し過ぎないよう、肉系清湯と合わせる

鶏めし(200円)は残ったスープをかけて楽しむ

「撰」では塩、醤油ラーメンが楽しめる。スープのベースとなっているのは豚骨、鶏ガラも加えた肉系清湯。温度計を使い85〜95℃をキープしながら、たぎらせないようじっくりとダシをとる。塩ラーメンには煮干し油、醤油ラーメンにはカツオ油、それぞれのラーメンダレに魚介要素を加え、肉系清湯スープにさらりと溶かし込む。実にシンプルであるが、雑味のないピュアなスープが胃袋に染みる。まろみのある塩気で、食べ進めるごとに旨味が増すタイプのラーメン。醤油には、筆者好みの脂の少ない豚モモ肉。大判のものと、サイコロ状にした切り落とし肉がのっている。一方、塩ラーメンの具は鶏肉。豚モモ肉は醤油ダレで、鶏肉は塩ダレで。より馴染むようにと、ラーメンと同じタレでチャーシューを味付けしているのも作り手のこだわりだ。

そして、ほとんどの客が頼むのがサイドメニューの「鶏めし」(200円)。鶏のささみ肉をこんもりと盛った白飯に、残ったスープをかけて楽しむ。ささみにジュワリとスープが染み込み、あられの食感がいいアクセントに。

従兄弟同士がタッグを組み開業

「撰」の撰田一喜(右)さん、松井基さん(左)

「撰」は撰田一喜さん、松井基さん、ともに岡垣町出身の従兄弟同士がタッグを組み、2018年5月に開業した。撰田さんは、地元の豚骨ラーメンの名店で働いていたが、独立時は塩、醤油を選んだ。

「基くんは従兄弟ですが、家が近かったこともあり幼少から実の兄貴のような存在。悩み事があるといつも相談にのってくれました。ラーメン店を開きたいとなった時もいろいろとアドバイスをもらい、結果、この辺りにあまりない塩・醤油ラーメンで勝負することに。豚骨ラーメンは長く作ってきたのですが、塩・醤油は全く初めて。2人で食べ歩き、試行錯誤を重ねました。何より“子供に食べさせたいラーメン”を目指して作りましたね」と、振り返る撰田さん。

麺は石川製麺の中太縮れ麺を使用

撰田さんの“本気”を感じ、松井さんもその時していた仕事を辞めてラーメン店で再スタートをきった。

厨房の2人を見ていると、実にいいコンビだ。

松井さんはラーメンの経験はなかったが、料理が大の趣味。弟がフレンチシェフであることもあり、料理の知識も深い。ラーメンにもその見識とセンスを吹き込んだが、あくまで作り手の撰田さんを立て、裏方に徹している。

岡垣パーキングの一角にある

塩、醤油の上品な和風ラーメンに〆の鶏飯の組み合わせは、朝ラーとして出しても人気になりそうだ。(現在は11:00からだが、早朝からの営業も検討している)。

【撰】
住所:福岡県遠賀郡岡垣町山田527-3
電話:090-2960-5483
営業時間:11:00〜15:00(LO14:45)、17:00〜20:00(LO19:45)
休み:水曜の夜、木曜
席数:6席
駐車場:約50台(無料・岡垣パーキング)

上村敏行(かみむらとしゆき)。1976年鹿児島生まれ。2002年よりラーメンライターに。以降年間300杯を食べ歩き「ラーメンWalker」はじめ各媒体での執筆活動、ラーメンイベント監修などを行う。KBC地域リポーター。

※この記事は2019年の情報です。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。

住所:福岡県遠賀郡岡垣町山田527-3
電話番号:090-2960-5483
営業時間:11:00〜15:00(LO14:45)、17:00〜20:00(LO19:45)
定休日:水曜の夜、木曜

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