【KBCレインボーウィーク】 「逃げたいときは逃げてもいい」みんなの居場所づくりをし続ける翔馬さんの思い

KBCでは、10月20日から26日まで、性的マイノリティの当事者や、支援者であるアライの方々の想いや活動などを伝える「レインボーウィーク」プロジェクトを展開しました。
今年のテーマは“違いを超えて、違いをチカラに”
互いに等しく尊重し合えるような社会づくりの一助を目指します。

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翔馬さん/福岡市在住/34歳/福岡コミュニティセンターHACO代表
LGBTQ+の当事者。趣味は料理・飲み歩き。将来の夢は安定的な居場所づくり。
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福岡市博多区住吉にある「福岡コミュニティセンターHACO」(以下HACO)は、HIV/AIDSや性感染症の予防啓発活動をはじめ、性の多様性に関する情報発信や、当事者同士の交流を支える重要な拠点です。代表を務める翔馬さんのインタビューから、活動に込める深い願いが見えてきました。


■HIV/AIDS予防啓発と安心できる居場所づくりを両立する「HACO」の挑戦

現在、HACOの活動の柱は二つ。一つは、HIV/AIDSなど性感染症の予防啓発活動。福岡県、福岡市と協働し、コンドームを作って、無料で配布するアウトリーチ活動をしたり、性感染症のクリニック検査キャンペーンを行ったりと、積極的に性感染症を知ってもらうための活動を行っています。特にHIVウイルスは「きちんと治療すれば他の人には感染しない」という当たり前だけれど、意外とあまり知られていない情報を、薬害エイズのパネル展やイベントでの無料HIV検査会、HIV郵送検査キットの無料配布など、さまざまな形で届けています。

そしてもう一つは、LGBTQ+の当事者が安心して過ごせる居場所づくりです。HACOはセクシュアリティに関係なく、気軽に利用できる場所として開放されています。毎日のようにふらっと訪れる人、自分でお弁当を買ってきてスタッフと話しながら食べて帰る人、一人静かに読書する大学生など、いろいろな人がHACOを利用しているといいます。

HACOは2007年設立。当時は、今の一つ目の柱であるHIV/AIDSの予防啓発活動のみをする場所でした。それを変えたのは翔馬さんですー。

翔馬さんとHACOとの縁が始まったのは2014年。一人の利用者としてHACOに通い始めますが、そのあまりの居心地の良さに「自分も何か貢献したい」という思いが募り、ボランティア活動を始めることになりました。2018年には代表に就任し今年で8年目を迎えます。現在、翔馬さんと5人のスタッフと協力し、毎月のイベント企画や、来館者にとって「どうやったらもっとHACOに来たくなるか、どうすればもっと居心地よく過ごしてもらえるか」を常に考えています。「HACOの活動を通じて最もやりがいを感じるのは、暗い表情で訪れた人がスタッフや他の来館者との交流を通じて元気を取り戻し、笑顔で帰っていく姿を見るときなんです」と話す翔馬さん。これこそ翔馬さんが、誰もが居心地よくいられる居場所づくりに全力を注ぐ、一番の理由です。


■「翔馬は翔馬だから」 両親がくれた最高の肯定

翔馬さんは学生の時、もしかすると自分は同性も好きになるのかもと自覚することがありました。両親に自身のセクシュアリティを告白したのは、就職活動などで悩んでいた時期。曖昧な表現ながらも、自身が異性だけでなく、同性も好きになる可能性があることをメールで伝えました。その告白メールには、一週間後に開催される「LGBTの家族と友人をつなぐ会」への参加依頼を添えました。「当事者の親同士で交流できたら、両親が頼ることができるかもしれない」という翔馬さんの配慮でした。

メールから丸一日後、母親から「参加する」と返事が届きました。しかも驚いたことに、両親揃って行くと書かれていたのです。母親は「育て方が悪かったのか」と翔馬さんに謝罪の言葉を口にしつつも、「翔馬は翔馬だから」と彼の存在を肯定し、受け入れてくれました。それ以降、母親は翔馬さんのカミングアウト後から本を読んで調べたり、テレビやインターネットでLGBTQ+関連のニュースや情報が出ると、翔馬さんに共有したりしてくれていたそうです。こういった母親の行動を、翔馬さんは「過干渉せず、自分の生き方を尊重してくれている証」だと受け止めています。この深い肯定に支えられ、翔馬さんはプレッシャーなくありのままの自分でいられると感じており、それが活動へのエネルギーになっているそうです。


■「理解よりも尊重。みんながお互いに優しい社会になってほしい」

これからどんな社会になってほしいかという質問に翔馬さんは「LGBTQ+を絶対理解してくださいというつもりはありません。理解はできなくても、お互いを尊重し、優しく接する社会になってほしいです」と胸の内を話してくれました。そのためにも、翔馬さんは安定した居場所づくりを続けたいのだそうです。「『誰もが自分らしく生きられる社会』が理想的。でもそれが難しい人だっています。だからこそ、人生に疲れたり人間関係に悩んだりした当事者が、無理せず逃げてこられる場所が必要です。逃げたいときは逃げてもいい。私がここで癒やされたように、みんなにとってもHACOが居場所であり、逃げ場になってもらえたら」と翔馬さんは力強く語ります。

しかし、厳しい現状が翔馬さんにつきつけられています。HACOは厚労省の事業の一環での運営できているものの、事業更新が単年であるため、継続が安定しているとは言えません。翔馬さん自身も、HACO以外に仕事を掛け持ちせざるを得なく、その分時間も取られてしまいます。将来的にはお金や時間に困らず、もっと余裕をもってみんなのための居場所づくりをしていくことが、翔馬さんの夢です。

「HACOは、誰もが自分自身を大切にするためのエネルギーをチャージできる場所であり続けたい。本当に何でもいいので、いつでも話しに来てほしいです。自分自身を大切にすると、結果的に周りの人も大切にできるのですから」と話す翔馬さんは、優しさの溢れる笑顔を浮かべました。


福岡コミュニティセンターHACO
福岡市博多区住吉4-4-21エバーライフ住吉 1F
http://loveactf.jp/
https://x.com/HACO_fuk?ref_src=twsrc%5Etfw

―三好不動産はKBCレインボーウィークを応援しています―

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