水郷・柳川に名豚骨アリ。「CRAZY MALT」年間300杯! 豚骨戦士 福岡のラーメンを斬る! VOL.39~ふるさとWish 柳川市~
ダイナーのようなしつらえで、屋号は「CRAZY MALT」。最初はバーがラーメンを出しているのかと思った。しかし、同店はれっきとしたラーメン専門店。店主の好きを詰めたアメリカンな空間の奥に、豚骨をグツグツ煮込む羽釜がドズンと据えてある。こういう女子ウケしそうな店は、見た目も華やかな非豚骨系を掲げていることが多いが、ここは久留米系のクラシカル豚骨がメイン。屋号と店の雰囲気からこの一杯は想像できないだろう。ラードを使わないあっさりスープに、九州醤油の甘さがほんのりと効いている。筆者も大好きな味わいだ。1杯590円の値段もうれしい。
柳川市「CRAZY MALT」で楽しめるのはクラシカル久留米豚骨
「非日常の空間でクラシカル豚骨を食べてもらおうと思って」と話すのは、柳川市「CRAZY MALT」の店主・中ノ森 隆さん(1980年生まれ)。柳川市の隣、大木町出身の中ノ森さんは、19歳で地元を中心に展開するラーメン店にアルバイトで入り、27歳の時に独立した。豚骨ラーメン店っぽくない屋号について聞くと「最初に始めた店の名前が、他店と似ていたため間違われることが多かった。絶対に被らないラーメン店の屋号にしようと、前身店があった大木町から柳川市へと移転したタイミングで変えました。由来は、私が大のバーボン党でアメリカ好きなことだけです」と笑いながら教えてくれた。
老若男女に愛されるシンプルな豚骨ラーメンは、豚頭とゲンコツを使い久留米伝統の“呼び戻し”手法で作られる。ラード、背脂はいっさい使用しない。「羽釜2つと寸胴を1つ。炊き込み時間、濃度の異なる計3つの釜のスープをブレンドしながら調整していきます。ゲンコツはジワリジワリと旨味が出て、頭骨は一発ドカン! という感じ。濃度を上げたい時は、頭骨をグリグリと砕きます。それぞれの特性を考えながら骨の割合も研究を重ねました」と中ノ森さん。
麺は、久留米の重鎮「大砲ラーメン」の麺工場へオーダーする2種を使っている。また、漬け物店を営む親戚から仕入れているという無料の高菜。これも美味しい。みずみずしさを残し、辛さを抑えたタイプの高菜で、ラーメンの味変はもちろん、白飯、チャーハンのお供にも最高である。
そのほか、「CRAZY MALT」には「BLK64」という名の変わり種ラーメンもある。豚骨スープとカレーソースを6:4の割合で合わせた黒カレーラーメン。
豚骨スープのコク、カレーのスパイシーさ、チーズのまろやかさが合わさりなんともおもしろい味わい。
柳川といえばもちろん鰻であるが、サクッとランチならラーメンも選択肢でぜひ。
【CRAZY MALT】
住所:福岡県柳川市三橋町柳河823-1 北寺ビル1F
電話:0944-69-9191
営業時間:11:30〜15:00、18:00〜22:00、LO各15分前
休み:月曜(祝日の場合翌日)
席数:34席
駐車場:15台
上村敏行(かみむらとしゆき)。1976年鹿児島生まれ。2002年よりラーメンライターに。以降年間300杯を食べ歩き「ラーメンWalker」はじめ各媒体での執筆活動、ラーメンイベント監修などを行う。KBC地域リポーター。
※この記事は2019年の情報です。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。