静岡の秘境走る大井川鉄道井川線 観光列車に特化し運行開始 生き残りかけた戦略とは
社会|
07/03 16:19
秘境を走ることで知られる静岡県のローカル鉄道・大井川鉄道では、観光列車に特化した運行を開始した。人口減少などで経営難が続く中、生き残りをかけた戦略とは?
■日本で唯一の「アプト式」を見学
静岡県のローカル鉄道・大井川鉄道。その千頭駅から井川駅を結ぶ、井川線「南アルプスあぷとライン」が1日から、観光列車に特化した運行を開始した。
25.5キロの道のりをかわいらしい赤いトロッコ列車が、およそ2時間かけてゆっくりと走っていく。
旅行商品としての運行で、価格は片道・大人3500円(小児1750円)。それまで千頭~井川間の運賃が1340円だったので、実質およそ2.6倍の大幅アップとなった。
大井川鉄道
鳥塚亮社長
「(Q.3500円の料金の価値はどこに?)他では体験できないものが、ここにはある。十分楽しんで納得いただける料金設定と考えている」
元々、電力会社がダムの資材運搬用に建設した井川線。出発してから、およそ40分。「アプトいちしろ」という駅で、日本で唯一の貴重なものが見学できるという。
「アプト式機関車」というもので、急勾配を上り下りするため、線路の中央に敷かれた歯型のレールに機関車の歯車をかみ合わせて坂を進む。
アプトいちしろ駅と隣の長島ダム駅間は、国内の普通鉄道でもっとも勾配が急な区間。現在、日本でアプト式を採用しているのはここだけだという。
■秘境駅
虹がかかることも
長島ダムの建設によってできた秘境駅がある。ダム湖の湖面に突き出した半島の先端にあるのが、奥大井湖上駅だ。
そして、駅のホームの先には鉄橋。その上には遊歩道があり、歩いて渡ることができる。
湖面からの高さは、およそ70メートル。よく虹がかかることもあり、「レインボーブリッジ」と命名されたという。
静岡県のローカル鉄道・大井川鉄道井川線は、なぜ観光列車に特化した新たな運行形態にしたのか。そこには、鳥塚社長の強い思いが込められていた。
■生き残りへ“観光に特化”
旅行商品としての新たな運行形態に特化した大井川鉄道井川線。その理由を鳥塚社長に聞いてみた。
「(Q.なぜ観光列車に?)一番の理由は『定期旅客が15年間いない』。鉄道運賃制度というのは、地元の人が毎日利用するていでできている。観光客ばかりなのに、地元の人が利用する仕組みでできている鉄道運賃を適用することはないだろうと。だから、観光客で来てくれた人から、できるだけお金を落としてもらう仕組みをつくらないといけない。これは就任当初から、なんとかしないといけないと、ずっと考えていた」
沿線の住民の料金は割安にしながら、観光収入に軸足を置いた経営戦略。実は、2024年6月に就任した鳥塚社長は「ローカル鉄道の再生請負人」として知られる人物だ。
廃線の危機に瀕していた千葉県のいすみ鉄道では、さまざまなアイデアで知名度をアップさせ、新潟県のえちごトキめき鉄道では、列車を貸し切って結婚式を行うなど斬新な企画を次々と打ち出した。
「きょうは片道いくらという乗車の『旅行商品』なんですが、(今後は)いろいろなルートの提案、観光コースの提案、こういうのも今後していって、地域の事業者たちと一緒になってやっていく仕組みが、この観光列車化でできると私たちは考えています」
■観光列車を利用した客は
実際に観光列車を利用した観光客はこう話す。
大阪からの観光客(60代)
「通勤電車でこんなに高かったら『こんな値段で乗られんやんけ』になるけど。観光列車だから、3000円前後にはなるのかな」
「すごく楽しめました。来ないと分からない良さ」
東京からの観光客(60代)
「(3500円は)安すぎだと思います、正直」
(2026年7月3日放送分より)







