シングルマザー 物価高で厳しい生活 先進国最悪レベルの貧困率… 対策は
社会|
05/11 18:47
コメ価格の高騰などの物価高によって、母子家庭=シングルマザーの生活が厳しさを増しています。現状と対策を取材しました。
■シングルマザー
物価高で厳しい生活
小学校6年生の娘・萌さん(11)を育てる杉並さん。静岡県で地元紙の記者をしながら家事や育児に奮闘の毎日です。
杉並勢津子さん(56)
「家族構成は私と娘の2人。女性2人って気が楽。『経済面』を抜かせば気が楽」
日本の母子家庭はおよそ30年で1.4倍に増加。ひとり親世帯の貧困率は44.5%と国際的にみて高い水準です。杉並さんも月収は家賃や光熱費、食費など生活に最低限必要なものの支出で消え貯金はできない状態だと言います。しかも、最近はさらに厳しい現実も…。
杉並勢津子さん
「自分が選んだ道だから仕方ないが、ただガソリンは上がっちゃうし、光熱費も上がっちゃうし、もうすべてが…」
地元のボランティア団体による食料支援サービスも利用していましたが、物価高と品薄により大きな変化が…。
杉並勢津子さん
「(週1回から)月1回の配布になって」
「(Q.けっこう厳しくないですか?)厳しい」
スマホは持っていますが、自宅にテレビはありません。週末は、よく図書館を利用するといいます。
萌さん
「なんかワクワクする」
「(Q.何を借りたのきょう?)きょうは『木に『伝記』あり』という本を借りた」
「(Q.なんか難しそうな本だね?)確かに…」
普段は、午前5時半起きで朝食の用意。夕食の仕込みまでして仕事に向かいますが、休日は萌さんも料理のお手伝いをします。
杉並勢津子さん
「(Q.今生活している中で何が一番楽しい?)やっぱり萌といる時間。本当にそれが救いで」
44歳でやっと授かったという娘の萌さん。産まれたのは「母の日」でした。
杉並勢津子さん
「一番喜んだのはその時70歳になる母でした。『一番のプレゼントだった』と言ってくれました」
萌さん
「(Q.お母さんの姿を見てどうですか?)かっこいいなって思う。いつも頑張っているところとか萌のために考えてくれているところとか、かっこいいなぁと」
杉並勢津子さん
「困っちゃいますね…。でも、子育てって『得るもの』の方が大きいから」
経済的には、厳しい状況ではありますがその分、萌さんからもらっているものの大きさも実感していました。
高2の娘がいる仲山さんも、ギリギリの生活を送っていました。
16歳の娘を育てる仲山さん(36)
「以前は手取りで(月)約18万円。もっと少ない時もあります」
派遣やバイトを掛け持ちしても、非正規では手取りは月18万円ほど。体調を崩したこともありました。
仲山さん
「子どもの成長に合わせて、仕事を選んできたのでフルタイムのキャリア形成がどうしても難しくて」
母子家庭の平均年収は236万円。非正規で働くと、わずか150万円です。
そんななか、仲山さんが挑戦したのがAIを活用したスキルアップでした。
AIを学んだことで、事務作業の効率が格段にアップ。
仲山さん
「作業時間が短縮される分、ボリュームがこなせるので、仕事をたくさんもらい収入につなげている」
かつて月18万円だった収入は、今ではおよそ30万円に。
仲山さん
「子どもの将来のためにも使えるお金の幅が増えた。頑張った分だけ評価、収入として入ってくる。学んで良かった」
グラフィックデザイナーの寺澤さんも、小学4年の息子を育てながらAIを学び、収入は月10万円アップ。
子育てにも、良い影響をもたらしました。
9歳の息子を育てる寺澤さん(38)
「お金のために働くのも大事だけど、そのために苦しんでる母を(息子は)見たくないと思う。楽しく働いている、楽しく学んでいる姿を子どもに見せられるのはすごく良いこと」
こうした動きが広がる一方で、支援団体は「制度の壁にも目を向けてほしい」と話します。
しんぐるまざあず・ふぉーらむ
小森雅子理事
「児童扶養手当という制度があるが、所得制限が低く設定されています。300万円~400万円近くの年収だと全く手当てが得られない。大きな年収の壁というか、崖がある」
シングルマザーの生活を支援する制度の整備が求められています。