トランプ関税に世界各地から懸念の声 コメ高騰の日本に販路拡大の動きも
国際|
05/10 19:09
トランプ政権が相互関税を発動してから初めて、アメリカと中国の高官による正式な協議が行われます。関税を巡って進展がみられるのか、注目が集まっています。
■トランプ関税に世界各地から懸念の声
トランプ大統領
「今後も合意は次々とやって来る。最終的に残りすべてに署名するだけだが、関税10%が基準値だ」
世界経済に衝撃を与えたトランプ関税。輸入品への10%の関税を最低限の水準として維持する考えを示しました。
トランプ大統領
「破格の待遇があれば例外はある。ただ、関税10%はあくまでも最低基準だ。ある国に対しては長年、我々にしてきたように40%にも50%にも60%にもなり得る」
そして、今後の注目はアメリカと中国との交渉の行方です。
現在、アメリカは中国に対して145%の追加関税を、中国も125%の報復関税で対抗。一方で今週末、ベッセント財務長官と中国の何立峰副首相はスイスで初めて会談します。
進展はあるのでしょうか。トランプ大統領は突如、妥協案を示しました。
トランプ大統領
「中国とは今は何の商売もしていない。(ベッセント財務長官に)数字は伝えた。きょうの時点で示した税率は80%だ」
中国への関税を80%まで下げる案を表明。引き下げる準備があることを示唆したものとみられます。
■関税交渉に合意のイギリス
農家は困惑
真っ先に関税交渉で合意したイギリス。農家は困惑しています。
アメリカとイギリスの合意では、牛肉の輸出について「お互いの市場にアクセスできる」としていて、イギリスの農家には1万3000トン分の無関税枠が設けられます。
ただ、アメリカに輸出する考えがない農家は不安が募ります。
ホールファーム
コリン・ハワード代表
「この業界はかなり絶望的です。米国産牛肉は英国産牛肉よりもはるかに安い価格で輸入可能です。輸入品と競争することができず、イギリスの牛肉生産は徐々に減っていく」
■トランプ関税の影響は東南アジアにも
東南アジアでもトランプ関税の影響が出ています。タイのコメ農家。トランプ関税が重くのしかかります。
タイのコメ農家
「選択肢はありません。もうこういう状況だから」
タイがアメリカに輸出している品目のうち、2番目に多いのがコメです。
タイのコメ農家
「生き残れないわ。畑の賃借料だけで、手いっぱい。利益も全然残らない」
都内のイベントに参加するタイの企業からも…。
タイ米製造会社「ワンナポップ」
タンヤワンCEO
「もし本当に(関税が)上がると、タイ米に影響が出ると思います。(アメリカで)消費者が安いお米を探し、タイ米の売り上げが減るからです」
■コメ高騰の日本に販路拡大の動きも
タイ米を生産、輸出する会社です。トランプ関税で困惑が広がるなか、今、力を入れていることがあります。それが、日本へのタイ米の輸出です。
タンヤワンCEO
「(日本への)販売量は大幅に増加しています。去年は(年間)約250トンのコメを輸出しましたが、今年(1月~4月)は800トンに増加しました。日本の消費者の反応は大変良好です。その一因はタイ料理を食べる日本人が増えていること」
コメ価格の高騰を背景に、タイ米を購入する人が増えているといいます。
日本へ輸出しているのは、日本人の好みに合わせた甘くてやわらかいタイ米です。
客
「お米がすごく良いにおい」
「おいしかった。なので買った。食べやすかった」
トランプ関税に悩まされる世界各国。まだまだ広がりを見せそうです。