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【ロシア戦勝80年】友好国と結束誇示“ウクライナに直接協議提案”プーチン氏思惑

国際

05/11 22:45

プーチン大統領は5月10日、ウクライナとの停戦に向けた直接協議を、今月15日にトルコ・イスタンブールで開催することを提案した。プーチン氏は、「2022年に交渉を打ち切ったのはロシアではなくウクライナだ」と主張した上で、「我々は、ウクライナが前提条件なしでの対話再開に応じることを提案する。新たな停戦合意の可能性も排除しない」と述べ、和平への一定の前向きな姿勢を示した。この発言に先立ち、ウクライナのゼレンスキー大統領は欧州4カ国の首脳とキーウで会談を行い、ロシアに対して少なくとも30日間の無条件停戦を求めた。欧州首脳は、ロシアに対して、停戦合意を破った場合、大規模な追加制裁を科す構えであることを警告しおり、トランプ大統領もこれに同意したとされている。 第2次世界大戦における旧ソ連のナチス・ドイツに対する勝利から80周年を迎え、ロシアは5月9日、首都モスクワの赤の広場で盛大な戦勝記念式典を開催した。この歴史的な節目に、20カ国以上の国家首脳が招待され、中国の習近平国家主席を「主賓」として迎えた。式典には、習氏のほか、ベラルーシのルカシェンコ大統領、ブラジルのルラ大統領、親ロシア的立場で知られるスロバキアのフィツォ首相、エジプトのシシ大統領らが名を連ねた。各国首脳は、プーチン大統領と握手を交わし、厳粛な雰囲気の中でパレードを見守った。習氏は、プーチン氏と共に入場し、隣席に座るなど、主賓としての厚遇が際立った。 過去の戦勝記念式典を振り返れば、2022年のウクライナ侵攻開始以降、外国首脳の参加は大きく変動してきた。2022年には外国首脳の出席は皆無だったが、2023年にはカザフスタンやアルメニアなど旧ソ連構成国の首脳が参加。2024年にはベラルーシやカザフスタンを含む9カ国の首脳が出席した。今年の式典では、20カ国以上という異例の規模での招待が実現し、ロシアは、戦勝80周年を国際的な舞台で盛大に祝った。また、2005年の戦勝60周年では、当時、米国のブッシュ大統領、日本の小泉純一郎総理、欧州主要国の首脳らが参加した。しかし、2014年のクリミア併合を機に、2015年の戦勝70周年では、米国、英国、日本など西側主要国が抗議の欠席を表明した。 今回の式典の軍事パレードでは、約1万1000人の兵士が参加し、うち約1500人がウクライナでの戦闘経験者だった。軍用車両は183台が展示され、ウクライナ侵攻前の水準とほぼ同等となった。2022年以降、ウクライナ侵攻の影響で、参加兵士や軍事装備・軍用車両の数は減少傾向にあった。今回、ウクライナ侵攻で使用されている戦闘用ドローンが公開された。イラン製自爆ドローン「シャヘド」を基にロシア国内で製造され、「ゲラン」と名付けられた自爆ドローンは、エネルギー施設などの攻撃に使用されている。また、「ランセット」と呼ばれる徘徊型兵器は、攻撃と偵察の双方に対応し、ウクライナの戦車や軍用機の破壊に投入されている。これらの最新兵器の展示は、ロシアの軍事技術と戦場での実績を誇示する狙いがあるとみられる。 プーチン大統領と中国の習近平国家主席は5月8日、戦勝80周年記念式典に先立って首脳会談を行った。習氏は、「国際社会は一国主義と強権、いじめ行為に直面している」と述べ、これに対して、プーチン氏は、「高関税の賦課は常識に反しており、自身に跳ね返るだけだ。一国主義と制裁の乱用に共に反対していく」と述べ、米国に対して中国と足並みを揃える姿勢を強調した。両首脳は共同声明で、「ロシアと中国に対する米国の封じ込め政策に断固として対抗するために連携を強化する」と表明した。ウクライナ問題については、ロシア・ウクライナ戦争の解決には「『根本的原因』を取り除くこと」が必要との見解が示された。「根本的原因」とは、ロシアが一貫して主張するウクライナが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を断念する「中立化」、防衛力保持は最低限とする「非軍事化」、また、親欧米路線を放棄する「非ナチ化」を指したものとみられる。 一方、トランプ氏は5月8日、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、即時30日間の無条件停戦を要求した。ゼレンスキー氏は「即時に30日間の停戦に入る準備ができている」と応じたが、トランプ氏は自身のSNSで、「停戦が守られない場合、米国とそのパートナーはさらなる制裁を課す」と警告した。 ★ゲスト: 峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)、小泉悠(東大先端研准教授) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)

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