“世界初”人型ロボットのマラソン大会 米中摩擦背景に技術力強化アピール
国際|
04/19 18:12
中国・北京で19日、人型ロボットが走るハーフマラソン大会が開かれました。主催者は「世界で初めて」とうたっていて、中国の技術力をアピールする狙いがあるとみられます。
■“世界初”人型ロボットのマラソン大会
世界初となる人型ロボットによるハーフマラソン大会が19日朝、中国の北京で開かれました。参加したのは、「完全自律型」か「遠隔操作型」の二足歩行が可能なロボットです。
中国の企業や研究機関、大学などが開発した20チームのロボットが参加。1分おきに1体ずつスタートして、ゴールしたタイムで優勝が争われました。
顔のつくりにこだわったロボットも参加。問題の走りは…。涼しい顔をしているんですが、なかなか前に進みません。
なかにはスタートできずに棄権したとみられるロボットがいたほか、グルグルと回って転んだりトラブルやハプニングが続出しました。
全長およそ21キロを走るハーフマラソン。大会には「人間」の一般ランナーも参加。安全上の理由からロボットは別レーンを走りました。
■米中摩擦背景に技術力強化アピール
SFの世界が現実に近付いてきたのでしょうか。
中国総局
井上桂太朗記者
「中国政府は今年『ロボット・AI分野』について、国を挙げて推し進めると強調しました。中国がロボット・AI分野に力を入れる理由は主に3つあります。1つ目は、急速な少子高齢化に伴う労働力不足の解消と生産性の向上。2つ目は、EV=電気自動車に次ぐ経済の柱にしたい思惑。そして、3つ目は戦争やテロ対策など安全保障上の理由です。ロボット・AI分野ではアメリカと中国は熾烈(しれつ)な争いを繰り広げていて、中国はその先頭を走るべく、国を挙げて今回のマラソンイベントを開催し、産業発展の後押しをしたい狙いがあるとみられます」
ロボット、AI、宇宙開発や電気自動車を巡って熾烈な覇権争いを続けるアメリカと中国。激しさを増しているのはトランプ関税を巡る貿易摩擦だけではありません。
中国の技術力を国内外にアピールする狙いもあった、19日のロボット・マラソン。
優勝したのは、中国の複数の企業が集まったチームが開発した「天工Ultra」。タイムは2時間40分でした。
優勝した「天工Ultra」開発関係者
「バッテリーを3回交換しました。1回転びましたが、結果についてはおおむね満足しています」
公式な発表はまだありませんが、ANNの取材では20チーム中、制限時間内に完走したのは4体でした。