28日、ミャンマーで発生した大地震。死者の数が1000人を超えるなど、被害の大きさが徐々に明らかになってきました。一方、タイのバンコクでも、80人近くがいまも崩壊したビルの下敷きになっています。（3月29日OA「サタデーステーション」） ■建立900年の仏塔も被害に ミャンマー第2の都市マンダレーの近くを震源とする、マグニチュード7.7の大地震から1日。新たに入ってきた複数の映像から、地震の揺れのすさまじさが見えてきました。 歴史的な建造物で有名なマンダレーでは、僧侶たちが昇進試験を受けていたビルが倒壊。中にはまだ僧侶が取り残されていたといいます。900年の歴史を持つ、有名な仏塔も被害にあいました。ミャンマー国内では、これまでに死者は1000人を超え、けが人は2000人を超えるなど、その数は増える一方です。 マンダレーの住民に当時の話を聞きました。 マンダレーの住民 「何かが爆発したような音が聞こえて、その後に揺れがきました。ブランコを揺らしている感じです」 自宅近くのショッピングセンターで買い物中だったという男性。店を出ると異様な光景が広がっていました。 マンダレーの住民 「瓦礫に埋もれている人を見ました。救出もできていません。街の4割ほどが被害にあった感じです」 ■病院に患者殺到し医療は”崩壊状態” 市内では、倒壊する病院もあるなか、受入れ可能な病院には患者が殺到しています。停電で真っ暗な病院に、次々と運び込まれる患者。病院の建物の中に入りきれないのか、外には多くの患者が横になっています。電気が使えない中での治療が続いています。 地面に段ボールを敷き、点滴を受ける子供の姿も。点滴を持っているのは母親でしょうか。現地の報道によると、病院内も外も負傷者であふれ、医療スタッフや医療物資が全く足りず、医療はすでに崩壊状態だといいます。 ミャンマーでは2021年、クーデターで軍が実権を握ってから、民主派勢力などとの戦闘が続いています。政権側が掌握していない地域の被害についてはまだ明らかになっていません。 マンダレーの住民 「人生でこんなに怖い地震を体験したことがないので、みんなパニック状態で怯えています。マンダレーの歴史上、こんなことは一度もないです」 日本の外務省は、マンダレーで日本人2人が負傷し、病院で治療を受けたと明らかにしました。入院はせず、命に別条はないということです。 ■リトル・ヤンゴンでも不安広がる 東京・高田馬場にある通称「リトル・ヤンゴン」。日本にいるミャンマーの人たちが集う場となっています。 震源地近くのマンダレーに親戚や友人が多くいるというタンさん。叔母とは連絡が取れていないといい、何度もコンタクトを取り続けています。 ミャンマーから来日中のタンさん 「繋がらない。大丈夫だとは思うが、叔母が働いているお寺は全部崩れたので。わからないですね、どういう状態か」 タンさんの実家は、マンダレーから100キロ以上離れていますが、巨大な岩が落ちてきたそうです。 ミャンマーから来日中のタンさん 「日本人から学んだこととして、頑張ろうという感じで。諦めないで頑張りましょうと。そういうことしか言えない」 ■ビル崩壊現場
　懸命の救助続く 震源から1000km以上離れたタイ・バンコクでも、懸命の救助作業が続けられています。 行方不明者の家族 「生きていますようにと祈っていましたが、現場を見て、息子はどこにいるのでしょう耐えられないです。（同僚）6人がまだ生きていると祈っています」 タイ当局などによりますと、29日午後9時半時点で、この建物の崩壊など、タイ全国で15人が死亡。さらに、78人が行方不明となっています。 ■長周期地震動の威力浮き彫り バンコクで建設中のビルはわずか5秒ほどで崩れ去りました。なぜ1000kmも離れたバンコクでこれほどの揺れが伝わったのでしょうか。 南海トラフ巨大地震で内閣府の検討委員も務める、福和伸夫・名古屋大学名誉教授は、震源が浅くかつ大きな地震だったことで、周期の長い大きな揺れが起きたといいます。 名古屋大学
　福和伸夫名誉教授 「長周期の揺れは遠くまで揺れが減ることなく伝わりやすい。1000km離れていても伝わるんです」 長周期の揺れの特徴をよく表しているというのが、地震発生直後に撮影された3つのビルが映っている映像。建物が大きく揺れて、ビルを繋ぐ回廊部分が外れてしまっています。よく見ると、3つのビルのうち、真ん中のビルだけが大きく揺れているのがわかります。福和教授は、揺れの重なりが特定の建物を揺らす可能性を指摘します。 名古屋大学
　福和伸夫
　名誉教授 「3本ある高さの異なる高層ビルは長周期で揺れているけど、真ん中だけが周期が一致するから大きく揺れる。地盤の揺れやすい周期と建物が揺れやすい周期が重なると特定の建物だけでものすごく揺れる」