世界初「透明な厚紙」日本チーム開発 ジュースの色も分かる 濡れても丈夫&再利用OK
経済|
06/05 09:56
世界初の「透明な厚紙」を日本の研究チームが開発しました。厚紙を透明にすることで、中の飲み物が見え購買意欲につなげます。
■濡れても丈夫&再利用OK
海洋研究開発機構
磯部紀之副主任研究員
「きれいな色のジュースは、中身が見えないとおいしそうに見えない。透明で中身が見えて、紙と同じ素材でできたらいい」
世界で初めて実現した透明な厚紙。従来の紙パックと違い、透明な厚紙のカップにオレンジジュースを注ぐと、オレンジ色がはっきり見えます。
「曲げに対してもパキッと折れることなく、しなやか。紙だと濡れにとても弱い。透明な板紙(厚紙)は濡れても丈夫なまま。リサイクルもできます」
まるでプラスチックのようですが、紙と同じ「セルロース」という素材からできています。
「この状態までくると、水とセルロースのみになっています」
「ちょうど乾燥が終わって、こんなふうに透明になります」
セロハンテープと同じ素材ですが、これまでの技術では包装材に用いられる0.3~0.7ミリ程度の厚みを実現することは不可能とされてきました。
「条件合わせがすごく時間がかかった。この5年間ですでに600通り以上試しています」
開発した理由は「中身が見える」ことの他にもあるといいます。
「プラスチックはリサイクルは得意だが、海に流れてしまった時に残ってしまうことが問題」
海に流れてしまうと、生態系に深刻な影響を与えるプラスチックごみ。環境省によると(2020年)、世界全体では毎年およそ800万トンのプラスチックごみが海に流れ、2050年には魚よりもごみの量が多くなると言われています。
今回開発した透明な厚紙は、微生物によって分解されます。
透明な厚紙カップとプラスチックカップが深海で溶けるかを検証した映像を見てみると、プラスチックのカップはほとんど変化がありませんが、透明な厚紙のカップは4カ月以内にほぼ消失しています。
「現在のプラスチックからしたら、現時点の試作品で1000倍くらいの値段になる。大量生産しないと価格は下がらないので、連続工程でものを作るプロセスを今開発しています」
(「グッド!モーニング」2025年6月5日放送分より)