「介護離職」10万人超 企業が仕事と介護の両立支援 介護現場では職員の定着が課題
経済|
05/10 12:24
親などの介護のために仕事を辞める人は年間10万人に上り、大きな経済損失となっています。このため、従業員の仕事と介護の両立をサポートする動きが加速しています。
父親の介護を体験
「もう少し早くに準備しておけばよかったなあ、(父親が)元気な時に準備しておけばよかったなあというのはつくづく思いますね」
大正大学社会福祉学科
宮崎牧子教授
「親と子どもで話し合っておいて、介護者が一人で抱え込まない態勢づくり(が重要)」
介護を実際に体験した社員や専門家から話を聞く社内研修です。介護離職を防ぐため先月から法律が改正され、支援制度の周知、それに社内研修や相談窓口の設置などの環境整備が企業に義務化されました。
研修参加者
「(介護を始めるには)話し合いだと思う」
東急不動産HD
人事部グループリーダー
中村友昭さん
「我々としては(介護支援)制度の周知もできたし、社員のリアルな声ということで皆さんにも身近に感じてもらう機会になった。いろいろ(介護の)相談が増えているのはすごく感じている」
年間10万人(23年総務省発表)を超える介護離職者は団塊世代の全員が75歳となる今年以降、さらに増えるとみられ、2030年の国全体の経済損失は9兆円(経産省試算)に上るといいます。
さらに深刻なのは、仕事と介護の両立を支えてくれる介護サービスの職員が足りないことです。
介護スタッフを育成するため、こちらでは介護に特化した新たな施設が作られました。
介護研修
「なるべく広い面で支えてあげて、ごろんとしてもらって」
人材サービスのこの企業は、先月から介護や看護専用の研修施設を新たに作りました。未経験でこれから高齢者施設などに派遣される人が対象です。
研修生(50代)
「(介護現場の)イメージをすることができました」
研修生(30代)
「大変だと思うけど、きっとやりがいのある仕事だと思います」
高齢化で需要が伸びる介護職員。しかしその数は減っていて(23年度212.6万人、前年度比-2.9万人)、来年度には25万人が不足する(厚労省発表)とされています。
人材の確保はもちろんのこと、いかに定着させるかが課題です。未経験で介護の現場に派遣された人の2割が1カ月以内に退職してしまうといいます。
日研トータルソーシング
メディカルケア事業部
鈴木慶太部長
「(介護職の賃金は)他の業界と比べると低いところにある。(働く人が)仕事と介護を両立できるかは、制度だけではなく、介護職がどれだけ充足できるのかにかかっていると思っています」