“ドパガキ”SNS依存は若者だけではない…原因は「脳」世界の規制と日本の課題
福岡|
10/17 12:10
■「何してた?」「ドパってる」1日14時間スマホ漬けの若者たち

「ドパガキ」という言葉をご存知でしょうか。
これは「ドーパミン中毒の子ども」を略したネットスラングです。
SNSのショート動画など刺激の強いコンテンツを絶え間なく見続ける若年層を指す言葉として、世界的な問題になっています。
福岡市天神で話を聞くと、中学3年生の男子は「11時間とか」と1日のスマホ利用時間を明かしました。
利用しているのはインスタグラムやTikTokで、長時間使ってしまう理由としては「部活も引退してやることなくて暇…」だといいます。
また、ある大学生の女性は、1日のスマホ利用時間が14時間にのぼることも。
友人から「何してた?」と聞かれて「ドパってる」と話すこともあるといいます。
SNSの長時間利用は、もはや“当たり前”になっています。
■専門家が指摘「制御が利かない未熟な脳」 子どもが依存しやすいワケ

SNSは特に子どもが依存しやすいといわれています。
その理由について富山大学の山田正明准教授は、脳のメカニズムが関係していると指摘します。
「子どもっていうのはですね、生まれてから25歳ぐらいまでどんどん脳みそは膨らんで成長していく」と語る山田准教授。
特に、理性や自制心をつかさどる「前頭葉」が本格的に成長を始めるのは16歳ごろからだといいます。
それ以前は「制御が利かない」「我慢がしづらい未熟な脳」という状態のため、興奮できるものを見つけると、どんどん楽しんでしまう傾向があるのです。
「だから子どもは大人に比べて依存症になりやすいんです」と、山田准教授は警鐘を鳴らしています。
■世界で広がるSNS規制 無限スクロールや自動再生を禁止する動きも

子どものSNS依存問題を受け、世界では規制の動きが広がっています。
2023年12月、オーストラリアでは世界で初めて16歳未満のSNSアカウント作成を全面的に禁止する規制を開始しました。
罰則の対象は、プラットフォームを運営する事業者です。
また、EUでも2026年9月に「子ども法案」の提案を発表。
13歳以上15歳未満は保護者の管理下で1日最大1時間の利用に制限し、15歳から個別にアカウントを開設できるといった内容です。
さらに、IT企業が集中するアメリカ・カリフォルニア州では、無限スクロールや動画の自動再生といった「依存性機能」を禁止する法案が可決されました。
富山大学の山田准教授は、こうした「“依存症アルゴリズム”の危険性は日本ではあまり理解されていない」と指摘しています。
■大人も危険!“キラキラ投稿”との比較で心の不調に…相談者には80代も

SNSへの依存は、子どもだけの問題ではありません。
福岡市中央区の「六本松こころのクリニック」では、SNSが原因で心の不調を訴える大人が増えています。
前田輝院長によると、相談者の中には70代や80代の患者もいるといいます。
相談の内容としては「夜もスマホ・SNSをずっと見ていて、なかなか(午前)2時3時まで寝られなくて」といった睡眠の問題を訴えるケースがあります。
このほか、SNS上の“キラキラした投稿”と「自分の今の状況と対比してしまって」自己肯定感が低下したり、過度な焦りや孤立感を抱いたりするケースが目立つといいます。
前田院長は「うつっぽくなる人、イライラする人、消えたい・死にたいみたいな重たい悩みが(SNSによって)増幅することもある」と、その危険性を語りました。
■スマホを預けて入店 “デジタルデトックスカフェ”が目指すリアルな交流

深刻化するSNS依存の対策として注目されるのが「デジタルデトックス」です。
北九州市小倉北区にオープンした「TCK café」は、デジタルデトックスをコンセプトにしています。
入店時にスマホやパソコンをロッカーに預けるのがルールです。
このカフェは、北九州市立大学の学生たちが、駅弁で知られる「東筑軒」と協力して運営しています。
スマホを回収する代わりに、ボードゲームなどを貸し出し、リアルな交流が生まれる場を提供しています。
学生スタッフは「最初はびっくりして入られる方も多い」と話しますが、「こういうのも逆に新しい」「昔がよみがえったみたいとよく言われる」と好評だといいます。
デジタルから離れ、人と人とのつながりを再確認する時間が、現代社会には必要とされているのかもしれません。







