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【甲子園への道 福岡】 創部34年目の初シード、城南高校の「考える野球」で仲間と駆け抜けた夏

高校野球

2026年07月15日

創部34年目で初のシード権を獲得した福岡県の城南高校野球部。

その強さの裏には、監督やコーチに頼らず、選手たち自身が考える「主体性」がありました。

チームの頭脳としてデータ分析を担う3年生の東悠矢選手と尾﨑謙一(あきひと)選手を中心に、仲間たちと挑んだ最後の夏を追いました。

■「一発で決めれるようにやっていこう」選手主導のミーティング

試合前の円陣。

そこに監督やコーチの姿はありません。

練習のテーマから試合で出た課題まで、すべて選手たちが主体となって考え、ミーティングで共有するのが城南高校のスタイルです。

「ピッチャーが代わるごとに打球方向変わると思うで」「やってみないとわからんと思うけん」。

選手同士で意見を交わし、この日の練習のポイントを確認します。

「一発で一球で決められるようにやっていこう」。

尾﨑選手の言葉に、仲間たちが「オッケー!」「ヨッシャー!」と応えます。

選手たちが自ら考える野球こそが、創部初のシード権獲得につながる強さの源でした。

■「ピッチャーは決め球とか割合とか特徴を書く」データで支える3年生コンビ

そんな「考える野球」の中心にいるのが、3年生の東悠矢選手と尾﨑謙一選手です。

2人は、仲間たちが集めた対戦相手のデータをノートに集約し、分析する役割を担っています。

「ピッチャーは決め球とか割合とか特徴を書く」。

ノートには、相手投手の球種や配球の傾向、打者の特徴などがびっしりと書き込まれています。

この分析をもとに、試合中も2人を中心に作戦が立てられます。

刻々と変わる状況に対応するため、ベンチでは常に情報が共有され、次のプレーに生かされていました。

■いきなり3失点、強豪・九産大九州との初戦

創部34年目で初のシード校として臨む夏の大会。

南部3回戦の初戦、相手は春夏の甲子園に3度の出場を誇る九産大九州です。

試合は1回、いきなり3点を先制される苦しい展開。

強豪校を相手に、序盤から追いかける形となりました。

5回を終えてスコアは0対3。

なんとか反撃の糸口をつかみたい城南は、グラウンド整備の時間を使ってベンチ前でミーティングを開きます。

■「ボールに合わせにいっている」「ハードコンタクトしよう」仲間に声をかけ、1点差に迫る反撃

ミーティングの中心にいたのは、やはり東選手と尾崎選手でした。

仲間たちと勝利への道筋を共有し、後半戦へ向かいます。

すると6回、3番・長岡選手がヒットで出塁すると、打席には4番の脇山選手。

ベンチから出てきた脇山選手に、尾﨑選手がすかさず声をかけます。

「ボールに合わせにいっている」「ハードコンタクトしよう」尾﨑選手の言葉に背中を押された脇山選手は、それに応えるように見事なタイムリーヒットを放ち、まず1点を返します。

さらに7回、1年生の伊藤選手のタイムリーで1点を追加。

相手投手の癖を見抜いた盗塁。

3塁ランナーを動かし、内野ゴロの間に得点を奪う。

城南の得点パターンでした。

これでついに1点差。

選手たちが考え、実行する「城南野球」が、強豪を相手に流れを引き寄せ、ベンチの盛り上がりは最高潮に達します。

■「まだあしたも試合をやってそうな自分がいるけど…」涙で伝えた感謝

しかし、反撃もここまで。

あと一歩及ばず、試合は2対3で敗戦。

城南の夏は、初戦で幕を閉じました。

試合後、仲間たちの前に立った尾﨑選手の目には涙があふれていました。

「まだあしたも試合をやってそうな自分がいるけど、終わってしまったことがめっちゃ悔しい」。

言葉を詰まらせながらも、仲間への感謝を伝えます。

「これは変えられない事実やけん、献身的にサポートしてくれてありがとう」。

ともにチームを支えた東選手も、「野球をめっちゃ好きになったけど、それ以上に3年生のメンバーが好きだからやれたのかなって」と振り返ります。

「このチームに入っていなかったら、僕の高校生活は充実したものになっていなかったと思います。めちゃくちゃ感謝してます」。

選手たちの主体性でつかんだ初のシード。

悔し涙の先に、仲間と駆け抜けた充実した日々がありました。

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