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薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!

輝ける昭和文化いまだ健在!『帰ってきた あぶない刑事』

2024年05月23日

[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]

この作品のさらに詳しい情報はコチラ→https://abu-deka.com/

©︎2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

 Z世代の方はタイトルの「刑事」をそのまま「けいじ」と読むだろうが、昔からのファンにとっては「あぶデカ」だーっ!

 テレビドラマ版『あぶない刑事』の第一作は1986(昭和61)年のOAだから38年前。その後、平成を経て令和になったのに主人公の二人が突然、映画館のスクリーンに帰ってきた。

 映画版前作のタイトルは『さらば あぶない刑事(2016年)』だったので「さらば…って二度と会わないときに使うんじゃないの~」なんて野暮なツッコミはナシで楽しむべき大ヒットシリーズだ。

横浜の中華街を歩く姿からアクションシーンまで、とても70代のオジサンには見えなかった!

 いやいやスクリーン上のタカ&ユージには驚いた。言われなければ二人とも70代とは思えない。舘ひろし(タカ=鷹山敏樹)は74歳、柴田恭兵(ユージ=大下勇次)は今年8月の誕生日がきたら73歳だ。それでもいまだにテレビドラマ版の昭和ムードを醸し出していてスゴかった。

 タイトルの「帰ってきた」理由は「さらば!」と言って日本を離れニュージーランドに渡った二人だったが、現地でやらかして横浜に帰ってくる。遠くに見える横浜ランドマークタワーや横浜みなとみらい21地区は80年代にはなかった景色で感慨深かった。

 その街で新たに探偵事務所を開設するが、顧客第一号は20代とおぼしき彩夏(土屋太鳳)。彼女の依頼は「生き別れになった自分の母親を探してほしい」とのことだが、その母親も彼女自身も“訳アリ”の様子。

 そして実際の出来事にシンクロするかのように、横浜のカジノ誘致をめぐって何かを企む海堂(早乙女太一)なる悪役が登場。中盤からは拳銃ぶっ放し放題、しまいにはタカがショットガンを手にハーレーに乗って登場。さすがは元“(バイクチームの)クールス”のメンバーといったシーンだけど、横浜港署を定年退職しているので「銃刀法違反じゃん!?」なんてのも野暮なツッコミでした、スイマセン。

昭和世代としては共演するだけでもビビるほどの二人を相手に土屋太鳳が輝きを放つ。

 その中に昭和の香り漂う「おやじギャグ」や「下ネタ」はもちろん、アーカイブ映像による懐かしいシーン&決め台詞が入る大サービス。

 おなじみの登場人物では、港署の町田透(仲村トオル)が万年課長の設定でタカ&ユージの“パシリ”をやるし、彼の専属秘書になった“瞳ちゃん”こと山路瞳を演じる長谷部香苗は昔のイメージのまま。

 驚いたのはタカ&ユージの同僚・真山薫を演じる浅野温子。芸風が180度変わり、昭和を代表する名曲を熱唱するシーンは「80年代に“W浅野”だった方ですよね?」というレベル…って、Z世代の方はネットで調べてね。

 さらに、物語のカギを握る土屋太鳳は、大物俳優二人とスクリーン上でスリーショットになる時にも堂々とした演技で、彼女の女優魂を感じることができたのが収穫だった。

浅野温子が演じる“真山薫”は令和時代のニューバージョンで…。

 試写会が始まる前までは「昭和の名作ドラマのテイスト」を劇場で楽しむのが制作意図かと思っていたが、エンドロールに追悼の意を込めて出てきた名前“黒澤満”にハッとした。

 『あぶない刑事』シリーズなどを手掛けた映画プロデューサーの方で、2018年に85歳でお亡くなりになっている。

 ご本人が生前「またいつか“あぶデカ”を…」と話していたことがきっかけで、本作を立ち上げたのは若手の映画スタッフたちだったという。監督の原廣利(はら・ひろと)氏も37歳、1987年の生まれでテレビドラマ版シリーズをリアルタイムで体験していないから新しい発想が可能だったかもしれない。

タカ&ユージ探偵事務所のオフィスは、奥の奥まできちんと作り込まれていて…。

 黒澤氏がプロデュサーとして手掛けた過去作には『野獣死すべし』『探偵物語』など一連の松田優作作品や、あの『ビー・バップ・ハイスクール』がある。いずれも令和の時代でも通じるクオリティで、Z世代にも受け入れられる可能性があるだろうと感じた。

 もちろん、松田優作氏も1989年に40歳で亡くなっているからデジタルで再現を、というわけではない。数多くの「昭和のドラマ史」に輝く名作を令和に活躍する若手俳優でリメイクする企画もアリでは…と書いたところで、今回の劇場版が「あぶデカ・新シリーズ」への“観測気球”に見えてきた。

 なぜなら、二人が看板を掲げた探偵事務所のセットが、この作品だけで終わるには惜しいほど、細かいところまで作り込まれていたからだった。


※この作品は5月24日(金)から、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ももち、TOHOシネマズ ららぽーと福岡 ほかで全国ロードショー公開です。

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