クチコミで広がる子どもたちの秘密基地!多世代が地域と繋がる令和版まちの駄菓子屋スタイル!買い物訓練もできる駄菓子&雑貨屋カフェ『青いねこ』(佐賀・基山町)【まち歩き】
■基山中学校そばにできた、子どもたちの「居場所」
基山中学校の正門そばにある白い2階建ての建物。2024年8月にオープンした『青いねこ』は、カフェ・駄菓子屋・雑貨店が一つになった、ちょっと不思議な空間です。
「最初はクチコミコミで広がっていったんですよ」と話すのは、スタッフの松元千秋さん。オープン当初は大人向けのカフェと雑貨店を想定していましたが、試しに置いた駄菓子が子どもたちの間で評判を呼び、今では放課後になると小学生から中高生まで、多くの子どもたちが集まる場所になりました。
■子どもが自分で学べる「買い物訓練」の仕組み
店内に入ると、まず目を引くのが所狭しと並ぶ駄菓子コーナー『さやえん堂』。ここには、子どもたちが楽しく買い物を学べる工夫が詰まっています。
商品のバーコード部分にはそれぞれ色のシールがついていて、会計時に同じ色のボックスに入れていく仕組み。「緑は緑、赤は赤に入れてね」と声をかけると、1歳から4歳の小さな子どもでも、自分で仕分けができます。
「価格は10円、20円とキリのいい数字にしていて、電卓を使ってもいいから自分で計算してみようねって」。
この仕組みのおかげで、子どもたちは自分で困って、考えて、解決する経験ができます。最近では、基山町内の小学校や放課後等デイサービスからも「買い物訓練」の場として利用されるようになりました。
「スーパーやイオンだと、親が先にスマホ決済で払っちゃったりして、子どもが実際にお金を扱う機会が少ないんですよね。ここでは自分でお金を出して、お釣りをもらって、という経験ができます」。
■40年越しの夢が叶った場所
実は『青いねこ』には、温かいエピソードがあります。製菓担当の有家美智代さんと販売担当の片山証子さんの基山町出身のお二人は、中学生の頃に「将来、喫茶店や雑貨屋を一緒にやりたいね」と夢を語り合っていました。
「中学校の時にね、ここの近くに建物を建てて、1階で喫茶店、2階で雑貨屋さんをやろうって、本当にたわいもなく話してたんですよ」。
それから数十年。別々の道を歩んだ二人が、再び基山町で同じ仕事をすることになりました。
「人生、どこでどう繋がるかわからないですよね」と話すお二人。
スタッフの多くは基山町出身。松元さんも小学生の頃に基山町に転校してきて、この地で育ちました。地元で育った仲間たちが、今度は地域の子どもたちの居場所を作る側になっています。
「その頃はね、本当に駄菓子屋さんが学校の前に2つありましてね。小さい頃の思い出話をしながら、今度は私たちがその場所を作ってるんです」。
「お互い腰が曲がるまで頑張ろうねって言ってます」と話します。
■カフェ・駄菓子・雑貨、3つの顔を持つお店
靴を脱いで店内に入ると、左手には無添加スイーツを販売する『Kanade's Kitchen』。焼きたてワッフルやソフトクリームなど、手作りのカフェメニューが並びます。
「ワッフルは生地が選べるんです。プレーンと紅茶とココアがあって、焼きたてを2階で食べていく子が多いですね」。
子どもたちの人気の「トッピング付きワッフル(チョコソース×スプレーチョコ)」は税込200円、自家焙煎のコーヒーは税込300円と、お小遣いでも気軽に楽しめる価格設定。ワッフルは北海道産てんさいの砂糖と北海道産小麦粉「春よ恋」を使用した、素材にこだわった一品です。取材時にいただいたワッフルは、ふんわりもちもちで、焼きたての温かさが嬉しい一品でした。
向かいには駄菓子コーナー、そして2階の一角には『ねこ雑貨チェリービーンズ』。手作り品からセレクト品まで、猫モチーフの雑貨がぎっしり。商品の約9割が猫グッズというから、猫好きにはたまりません。
「店名の『ねこ』は、スタッフに猫好きが多かったからなんです」と松元さんは笑います。
2階はカフェのイートインスペースと、子どもたちが自由に過ごせるフリースペース。畳の空間にはフリーWi-Fiも完備され、「滞在1時間」というルールを守れば、誰でも利用できます。
■多世代が交わる地域の交流拠点
『青いねこ』には、子どもだけでなく、主婦や高齢者も訪れます。近くの社会福祉協議会の施設に通う高齢者が、帰りに立ち寄ってコーヒーを飲んでいくことも。
「最近は猫好きさんがInstagramを見て、遠くから来てくださることもあります」。
店内では、子どもたちが騒がしくすることもあります。でも、それも社会性を学ぶ機会だと松元さんは考えます。
「昔は近所で注意し合ったり、教え合ったりできた時代があったけど、今はあまりないですよね。ここでは『こんにちは』って挨拶することや、レジで順番を待つことを教えています」。
子どもたちは、自転車の置き方や靴の片付け方を覚え、レジでは大人顔負けの静かさで順番を待ちます。
「子どもたち、本当に純粋なんですよ。年齢関係なく、ちゃんとルールを守れる。大人よりすごいですよ」。
■NPO法人「らいふステージ」の想い
実は『青いねこ』は、NPO法人「らいふステージ」が運営しています。
「この法人は生活介護事業、就労継続支援事業、グループホーム等を運営し知的障害や発達・精神障害のある成人の方を対象として、支援サービスを提供しています。中には、重度の障害の方もおられますが、その方の強みを活かした活動に参加して頂き、地域との接点としての『青いねこ』を窓口として社会参加して頂いています」。
店名の「青」は、自閉症の世界的なシンボルカラー。「青いねこ」という名前には、そんな想いが込められています。
「でも、お客さんには普通のお店として来てほしいんです。福祉だから『買ってあげよう』じゃなくて、『これ可愛いから欲しい』って思ってもらえたら」。
店内で販売されている手編みのねこのバッチや雑貨の一部は、利用者さんたちが作ったもの。商品の値札シール貼りや、近隣への配達も、彼らの大切な仕事です。
「彼らは、環境を整えてあげれば、驚くほどの能力を発揮されます。今まで学校や家庭で叱られることが多かった方たちが、『ありがとう、助かりました』って言われる経験を通じて、すごく表情が明るくなっていきます」。
保護者からは「うちの子がこんなことを」と驚きの声が上がるといいます。
「仕事って、人として一生涯続けるべきものだと思うんです。重度でも、軽度でも、関係なく。彼らが持っているものってすごいんですよ。挑戦する機会がなければ、それが光らないんです」。
■音楽と保護猫、広がる活動
「らいふステージ」は、音楽を通して地域と障害のある方々をつなぐ活動も行っています。法人のロゴが音符であるように、理事長、副理事長を初め、スタッフには音楽経験者が多いのが特徴。神崎市ではライブステージ併設のハンバーガーショップ「サム&プル」も運営し、定期的に演奏会が開かれています。
さらに『青いねこ』のスタッフが中心となり、基山町まちづくり基金事業として、きやまねこ実行委員会「ねこのUruru」を申請。地域ねこの保護や命の大切さを学ぶ目的で立ち上げました。
「店内に募金箱を置いてるんですけど、子どもたちが自分のお小遣いで『これ、猫ちゃんのためになるんでしょ』って入れてくれるんです。100円でお菓子が買えるのに」。
エサ代や衛生用品代に充てられる募金は、子どもたちに「命の大切さ」を伝える機会にもなっています。来年度は、地域ねこや動物の命をテーマにしたマルシェも計画中です。
■これからの『青いねこ』
「地域の居場所づくりは、これからも続けていきたいです。子どもたちが『ただいま』って言える場所であり続けたい」。
2026年からは、お小遣いで買える子ども向けメニューも増やす予定。3時のおやつタイムに合わせた商品展開も考えています。
「私たちも学びながら、楽しみながらやっています。スタッフみんなで『これやってみよう』って話し合える環境があるから、面白いんです」。
基山町という地域で、福祉と一般店舗の橋渡しをする「青いねこ」。ここには、子どもたちの笑顔と、スタッフの温かい想いが詰まっています。
「お店に来てくれた子どもたちが、将来『ここで働きたいです』って言ってくれたら、それが一番嬉しいですね」。
松元さんの言葉には、地域への深い愛情が感じられました。
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■『青いねこ』
住所:佐賀県三養基郡基山町宮浦990-11
電話:0942-50-5656
営業時間:10:00〜17:00
営業日:水・土・日曜(木・金曜は不定期オープン、詳しくはInstagramで確認)
Instagram:@aoineko_kanade
https://www.instagram.com/aoineko_kanade/
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