「三代の絆」(佐賀県鳥栖市)
「シュガーロード」とも呼ばれる旧長崎街道沿いの町には、
古くから続く甘味店が多く存在しており、ここ佐賀県鳥栖市もその一つである。
今年で創業107年になる山ノ内製菓本舗の三代目・山内啓司さん。
今も昔ながらのお菓子作りを続けて、地元民から長く親しまれている。
そんな山ノ内製菓本舗で最も人気があるお菓子が、鳥栖の郷土銘菓「ちゃんちゃん坊」。
上白糖と水アメだけの昔ながらのアメに炒った大豆が入っている。
アメを煮詰める温度が重要で、高温だと色がついて苦みが出たり、
低温だとくっつきやすくなったりと、とても気を遣う部分だ。
温度計がない時代は、アメを水につけて固まり具合で判断していたという。
「ちゃんちゃん坊」は”おじいちゃん・おばあちゃん、おとうちゃん・おかあちゃん、
赤ん坊の3世代で楽しめるアメ”というのが由来で、子孫繁栄の願いが込められている。
この技術・味・名前をこれからも後世に残して
鳥栖の人たちに変わらず親しんでもらいたいと願う。
そんな山内さんが未来に残したい風景は「杓子ヶ峰から見る鳥栖の町」
鳥栖市街地の北側に位置する標高247mの草山で、頂上からは市街地が一望できる。
山頂は緩やかな起伏の草原が広がり、草スキーで遊んだ記憶がよみがえる。
誰でも気軽に登れる低山として、
鳥栖の人ならば小学校の遠足で一度は来たことがあるという。
「ちゃんちゃん坊」のように、長く親しまれている地元民たちの思い出の地を、
そしてこの景色を、残していきたいと願う。
※この記事は2022年の情報です(「STORY」8月28日放送)。