西鉄観光列車が追い風に “ヴィンテージの街” 市民の思い~ふるさとWish大牟田市~
2019年3月に営業が始まった、西鉄初の観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」。
大川家具の椅子、八女の竹網、城島瓦など、沿線の伝統工芸品が使われています。
オープンキッチンにはなんとピザ窯まで!まさに筑後の玉手箱のような列車です。
その目的地は大牟田駅。
そう、グルメや流行の感度が高いお客さんたちを大牟田に運んでくるのです。
この日は大牟田のマスコットキャラクター、ジャー坊がお出迎え。
さあ、みなさん。どこへ観光に行きますか?
「大牟田のことをもっと知ってほしいなあ」とジャー坊が向かったのは、駅前広場にポツンと置かれた路面電車の車両。
中には観光地のパンフレットが置かれています。
この車両が設置されたのは先月(2019年3月)です。
そこには大牟田の良さを知ってほしいという市民の思いが込められていました。
福岡県の一番南に位置する大牟田市。
1889年に三井財閥に払い下げられた三池炭鉱は、日本の近代化を支えてきました。
1997年に閉山し、宮原坑(みやのはらこう)などが明治日本の産業革命遺産として、2015年に世界文化遺産に登録されました。
三川坑は世界遺産に登録されていませんが、最後に閉山した山として土日などに公開されています。
明治以降の香りが残るヴィンテージの街、大牟田市。
市役所本館は、1936年完成の国登録有形文化財です。耐震性などの問題で取り壊す計画が持ち上がり、保存を求める市民との間で揺れています。
そして、西鉄大牟田駅前に置かれたレトロな車両は、かつて大牟田市内を走っていた路面電車204号。
「204号の会」代表・古賀 知行さんは、この車両の保存活動を始めた人です。
204号は戦時中に作られ、1954年に廃線となるまで街中の4.7Kmを走っていました。
古賀さんたちは以前、山口県の図書館に置かれていた204号の存在を知り、有志を募って2011年に大牟田市に運んできました。最初は仲間のうどん屋さんの駐車場に置き、大牟田市に保存に向けて陳情を続けます。
そこに風が吹きました。
西鉄の観光列車計画が持ち上がり、西鉄と市が協力してくれることになったのです。
くず鉄になるしかなかった204号が、ヴィンテージの街・大牟田の宣伝を担当するようになった小さな奇跡。
ふるさとを大事にする、市民の思いがまちを動かしました。
大牟田市にはたくさん観光するところがあります。
ぜひ204号を覗いて、パンフレットで大牟田の観光地を探してみてくださいね。
※この記事は2019年の情報です(「シリタカ!」4月17日放送)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。