779年続く伝統工芸「博多織」を日常に 若い技術者育成も~ふるさとWish筑前町~
筑後平野の北側に位置する福岡県・筑前町。草場川の桜並木や上高場の藤棚、「道の駅筑前みなみの里」のひまわり畑など、四季折々の花と緑に囲まれた美しい町です。
そんな筑前町が誇る伝統工芸の工場に、リポーターのボビーがやってきました。
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博多織は今年生誕779年を迎えます。福岡が誇る貴重な伝統工芸の歴史を、筑前町の博多織工場「原田織物」社長の原田昌行さんに伺いました。
「本来、博多織は男の帯が最初だったんです。絹糸でしっかり織るから、お侍さんが刀を差しても緩まない。それから進化して女性用の帯ができていったんです」。また、博多織の代名詞である“献上柄”と呼ばれる独鈷華皿、両子持縞などの模様には、それぞれに厄除け、家内反映といったさまざまな意味が込められているのですが、元々は黒田長政が徳川幕府に博多織を献上していたことから付けられた名だといいます。
遊び心ある原田さんは、博多織を伝統工芸では終わらせません。近くで見ないとそれが織物だとは分からないほど緻密な模様が施されたタペストリーは、約800年前の博多古地図を描いたもの。博多織のデザインは、以前「紋紙」という分厚い紙で管理されていましたが、最近はパソコンが主流。そのため、より精巧な模様が描けるようになったといいます。
他にも博多織のランプシェードやクッションカバーを作っており、福岡のホテルでも使われているそうです。博多織を作るときにどうしても出てしまうあまり切れを再利用したボトルカバーは、お土産にぴったり。成田空港でよく売れているそうですよ。
博多織は、1ミリにも満たない細さの絹糸を何千本も組み合わせて織り上げていきます。「日本全国の産地でも、これだけ絹糸を密に使うところはないと思う。それが博多織独特の強さなんです」と原田さん。
原田さんが考える博多織の未来は明るいよう。「後継者育成の『博多織ディベロップメントカレッジ』という学校があります。今の若い人たちの感覚と感性のデザインは、われわれが作るものとは違う。どんな新しいものができるか楽しみですよ!」
ちなみに原田織物では、博多織のマスクを作っています。絹糸と和紙で作られ、通気性はばっちり。しかも献上柄には厄除けの意味も込められているということで、コロナ対策にはぴったりですね♪
原田織物
福岡県朝倉郡筑前町篠隈687−3
0946-42-2176
※この記事は2020年の情報です。変更している可能性があります。事前にご確認ください。