妻のために茶室を手作り DIYで2年半かけ~ふるさとWish上毛町~
石井裕二リポーターが訪れたのは福岡県上毛町の西友枝地区。ここに、たった一人で茶室を作り上げた男がいるといいます。
妻に「自分のふるさとへ来てもらいたい!」と一念発起
同地区は、毎年ホタルの乱舞が見られる自然豊かな場所。しかし、少子高齢化の影響で年々過疎化が進んでいます。そんな山奥の集落に、吉本二男(つぐお)さん(73)がDIYで作った茶室があるというのです。
出迎えてくれたのは、二男さん、妻のかつみさん、娘の理恵さんと3人の孫たち。おじいちゃんが作った茶室は「とてもすごい!」とお孫さん。家族も驚く茶室に、早速案内していただきました。
「え?どれですか?これ??これ作ったんですか?!一人で?!」。石井リポーター、茶室のクオリティーが高すぎて、本当に二男さんが一人で作り上げたとはにわかに信じられない様子です。「石の上に柱が乗っていたり…あの壁なんか、木の形をそのまま生かしたような感じで!」。二男さんは建築経験一切なし。ほぼ独学で、立派な茶室を建てたそう。
躙(にじ)り口から室内に入った石井リポーター。「うわ、すげ!シンプルだけど奥ゆかしい。床の間まであって・・素人がこんなものできるんですか?!」と興奮しきり。4畳半の真ん中に、茶釜を置く炉。柱には丸木を使い、天井は半分に傾斜をつけることで立体的に空間を広くしています。
なぜ、ここまで本格的な茶室を建てたのでしょう―。
「(ここが)山奥でしたから、私があまり来なかったんです」とかつみさん。二男さんは「先祖を守りたいので(妻に)来てもらいたい」と思っていたといいます。
茶室を作ったところは、二男さんが生まれ育った場所。現在、吉本夫妻は違う町で暮らしていますが、二男さんのご両親が他界したことで空き家状態になってしまったといいます。放置するわけにはいかなかったのですが、かつみさんはあまり足が向かなかったそう。そこで二男さんは、茶道の師範である妻のために茶室を作ろうと思い立ったのです。「今は春と秋に2日間ずつ、ここでお茶会をしています。遠くから、たくさんのお客様が来られます」。
さらに、上毛町役場の石川奈緒美さんによると、「茶室は町のイベントで、母屋は移住体験の施設として使われ、まちの活性化に貢献してもらっている」とのこと。地域の活性化にも貢献しているのですね!
茶室ができたことで「家族の絆が深くなった」と二男さん。さらにさらに、これで終わりではないのです。定年退職した二男さんは創作意欲がムクムク湧き、作ったのがなんと“公園”!600坪の敷地に、所有する山から運んできた石をいい感じに置き、手すりをつけ、桜を植えたそう。もはや、“DIY”の域を超えています。。。さらなる夢は「2畳くらいの茶室をもう一つ作る」こと。しかしそれを聞いていたかつみさんから「すみません、いりません(笑)」とばっさり斬られてしまった二男さんなのでした。
ちなみに二男さん手作りの「雁股庵 釣り鐘公園」は一般開放しているので、自由に散策できますよ。
雁股庵 釣り鐘公園
福岡県築上郡上毛町西友枝
※この記事は2020年の情報です(「シリタカ!」3月11日放送、リポーター:石井裕二)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。