白壁の町・うきは吉井の路地裏に絶品ラーメンあり。 「中華そば おさみ」豚骨戦士 福岡のラーメンを斬る! VOL.43~ふるさとWish うきは市~

うきは市「中華そば おさみ」の中華そば(750円)

うきは市吉井町の白壁通り近くに「中華そば おさみ」という店がある。「ぱんのもっか」やパティスリー「ミエル」、「MINOU BOOKS&CAFE」など、個人的に好きなスポットが集まる同エリアには町並み散策でよく訪れていて、なかでも「おさみ」には特別な思い入れがある。小路へといざなう木看板。周辺の雰囲気に溶け込む佇まいと同じく、出てくるラーメンもまた気品が漂う。


うきは産の甘めの醤油、出汁感際立つ中華そば

この看板を目印に細路地を進む

「おさみ」のラーメンは、“出汁が立つ中華そば”である。スープは大量の鶏ガラを使う肉系と、煮干、昆布、干し椎茸などの和風魚介ダシを別取りして合わせるダブルスープの手法。レンコンや昆布、ミズナがのるビジュアルも目を引くが、「この一杯が特別である」と感じるのは、やはりスープを飲んだ時。

“甘み”と“まろみ”。

多くの人が見た目の印象よりも甘さを感じるのではないか。

うきは市「弥吉醤油」の刺身醤油、甘口醤油、米酢、鶏油を合わせて作る醤油ダレが味の大枠となるのだが、甘い醤油に親しんでいる九州人にとっても甘め。しかし、この芳醇でまろやかな甘さに魚介、鶏、和風乾物素材の旨味がフンワリと包まれ、米酢の酸味も程よく加わり、見事な一体感を生む。幾重にも広がる出汁の旨味、それぞれの素材を確かめるように、口の中にスープをふくみ、ゆっくりと楽しむ。うん、うん、これは美味しい。モチモチの麺を啜れば、スープを吸った具材のほぐし鶏肉がよく絡んでくる。白壁通りの雰囲気にもマッチした、うきはゆかりの中華そば。拍手喝采である。

故郷うきはで中華そばを突き詰める

店主の鹿田修さん。「麺屋 遊楽」(那珂川市・2008年〜2013年)を経て、故郷うきは市で「中華そば おさみ」(2013年〜)を開業

店主は地元・うきは市出身の鹿田修さん(1977年生まれ)。「おさみ」は2013年開業であるが、筆者が鹿田さんに初めて会ったのは約10年前になる。当時、鹿田さんは那珂川市で「遊楽」というラーメン店を営んでいた。今とは全く異なる豚骨専門店。

「学生時代に滋賀県に住んでいて、現地のラーメン店にアルバイトで入ったのが始まり。8年働いた後に独立し、福岡・那珂川に『遊楽』を開きました。キャリアの入口が豚骨だったので遊楽も豚骨主体でしたが、興味本位で醤油ラーメンを作ったことをきっかけに、鶏や魚介を扱う楽しさに目覚めたんです。豚骨ほどドスンとしたボディの強さがあるわけではないですが、魚介や和風素材を織り交ぜながら“旨味を重ねていく”中華そば作りに興味が移っていきました」。


今秋、麺を「製麺屋 慶史」のものに切り替えた。より加水率が高く、モチモチした食感に

鹿田さんは2008年から始めた「遊楽」を2013年に閉め、同年、地元のうきは市で「中華そば おさみ」を開業した。職人が幼馴染みである「弥吉醤油」をラーメンダレとして使用。良質な地下水、近くでさばかれた新鮮な鶏肉や鶏ガラが手に入るのも故郷の利点だという。

店主の鹿田修さん(右)と筆者(左)

「おさみ」のメニューは中華そば(750円)と辛味まぜそば(750円)の2本柱。
卓上の赤ダレと柚子胡椒で味に変化をつけながら楽しんでほしい。





【中華そば おさみ】
住所:福岡県うきは市吉井町1242-1-6
電話:非公開
営業時間:11:00〜15:00
休み:水曜
席数:16席
駐車場:共用20台

上村敏行(かみむらとしゆき)。1976年鹿児島生まれ。2002年よりラーメンライターに。以降年間300杯を食べ歩き「ラーメンWalker」はじめ各媒体での執筆活動、ラーメンイベント監修などを行う。KBC地域リポーター。

※この記事は2019年の情報です。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。

中華そば おさみ

住所:福岡県うきは市吉井町1242-1-6
営業時間:11:00〜15:00
定休日:水曜

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