農家の負担をもっと減らしたい！三代目が目指す、ハイパー野菜洗浄機 ～ふるさとWish宇美町～

福岡県北西部に位置し、人口約3万７千人の宇美町。安産祈願でおなじみの「宇美八幡宮」がある町としても知られています。そんな宇美町で日本の農家を支える、とある機械がつくられているといいます。2019年10月16日（水）に放送されたKBCのニュース番組「シリタカ！」内の「ふるさとのチカラ」のコーナーでは、その機械を開発・製造している会社を取材しました。

野菜の価格も左右する！野菜洗浄機

今回取材に訪れたのは「ちくし号農機製作所」。農家専用の野菜洗浄機を開発している会社です。牛尾 威美社長が、ある機械を見せてくれました。「これはサツマイモを洗い、本来のイモのツヤを出す機械です」。実際に洗浄機でサツマイモを洗う前と洗った後を比較してみると、その違いは歴然。あまりの違いに、「野菜の売れ方が変わるのではないですか？」とはどうしても金額に差が生じてしまうそうで、「本来の色を出して、消費者の方に届けるんです」と牛尾社長が教えてくれました。

「ちくし号農機製作所」は1966年に創業。第1号機は、先代がドラム缶で作った「みかん洗浄機」でした。最初は野菜に傷がついたり汚れが落ちなかったりという困難に直面したといいます。しかし、改良を重ね現在の形に。幅広い種類の野菜を洗えるよう、今では50種類以上の機械を製造しているそうです。

ここで、実験をして洗浄機のスゴさを確認してみることにしました。たわしで野菜を手洗いした場合と、野菜洗浄機で洗った場合、どう違うのでしょうか？30秒間でダイコンを何本洗えるか、たわしで手洗いvs野菜洗浄機が対決！結果は、たわしで手洗いした場合は1本、野菜洗浄機では3本洗えました。手洗いと機械では、機械のほうが3倍の速さで洗浄できることがわかりました。

さらにこの野菜洗浄機の素晴らしいところは、野菜を素早くきれいにするだけではありません。ある農家の男性は「（水洗いをすると）手がかじかんで冷たい。そういうときに野菜洗浄機があると楽なんです」と教えてくれました。他の農家の方からも「これがないと厳しい」「疲労感は軽減された」との声もあり、野菜洗浄機の存在が農家の負担軽減にもつながっていたのです。

三代目が描く野菜洗浄機の未来

このように農家に役立つ機械を製造している「ちくし号農機製作所」ですが、１つ大きな問題を抱えているといいます。全国的に人材不足が懸念されている製造業ですが、こちらの会社も「開発の人材が不足している」と牛尾社長は話します。そのような状況の中、会社をなんとか存続させようと立ち上がったのが、牛尾社長の次女・沙織里さんです。

「うちの機械を作れる人が減ってきているので、私が一から勉強して教えられるくらい技術を磨き、次の代に引き継いでいけるように教育体制を作っていきたい」と語る沙織里さん。医療の道を歩んでいたそうですが、2年前に会社を継ぐため製造方法を一から勉強しているといいます。「私は日本の野菜が大好きなので、農家さんたちを応援したくて」と、野菜や農業への熱い気持ちが沙織里さんを突き動かしたようです。

沙織里さんの仕事は社内で技術を磨くだけではありません。取引先の農家のもとを訪れ、アドバイスをいただくことも大切な仕事です。「農家の方に聞くのが一番だと思いますし、農家の方が先生です」と話します。

彼女達の努力の甲斐もあり、現在では国内シェア3割を占めるほど売り上げが伸びているちくし号農機製作所。「うちの機械を使って、楽に農業を取り組むことが出来て、農業のきついというイメージをなくせたら。どんどん若い人に参入してもらって、日本の農業が活性化してほしいと思います」と、最後に沙織里さんは強い決意を語ってくれました。

ゆくゆくは、1台でさまざまな野菜を洗える機械の開発も考えているという沙織里さん。先代や牛尾社長の意志を継ぎながら、沙織里さんが「ちくし号農機製作所」をさらに発展させていくこれからが楽しみですね。


ちくし号農機製作所
住所：福岡県糟屋郡宇美町井野29-3
TEL：092-932-1662

※この記事は2019年の情報です（「シリタカ！」10月16日放送）。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。