運がよくないと渡れない無人島!?“神の島”~ふるさとWish苅田町~
京都郡苅田町は、福岡県北東部の周防灘に面した町です。臨海部の埋立地に国際貿易港・苅田港を有し、その周辺には多くの工場が立地する広大な臨界工業地帯が広がっています。近年は、美しい工業夜景が話題となり、新たな観光スポットとして人気になっているエリアです。
2019年9月10日(火)放送、九州朝日放送の情報番組「アサデス。KBC」の「ふるさとWish アサデス。旅行社」は、そんな苅田町に、「1日に数時間しか渡ることのできない島がある」との情報を入手。早速、現地調査に向かいました。
満潮の時だけしか上陸できない神秘の島
今回、因縁(?!)のジェフ太郎とコンビで調査することになったボビーたちが向かったのは苅田町観光協会。そこで島に詳しい「苅田ガイドの会」の塩塚誠さんと合流した2人は、「なんで数時間しか行けないんですか?」と謎の島について尋ねます。すると、「数時間というよりは、満潮の時にしか上陸できないんですよ」と塩塚さん。「大丈夫?今日は、行けるんですか?」と不安げな2人に、「さぁ…行けるかどうか…」と苦笑い。とにかく、運を天に任せて早速、島に向かいます。
塩塚さんに連れられてやってきたのは港湾地帯。ここから釣り船に乗って島までは約15分、現れたのは東西約750m、南北約100mの細長い島、「神ノ島」です。島全体が変成岩で構成されており、波風に侵食されてできた地形や地殻変動によって生じた形が特徴です。神の島と書いて「こうのしま」と読む名前の由来も、島の形が「お釈迦様の寝姿」に似ていることから。確かに、島の全景はあおむけに手を合わせ、海の上に横たわっているように見えます。
どうして満潮時にしか渡れないのでしょう。「桟橋もなければ、港もないから、潮が引いている時は船が接岸できないんですよ」と塩塚さんは言います。島の付近を航行しながら、様子を伺う船長が「今日はギリギリ上がれそうやね」とジャッジし、島の防波堤に船を寄せます。しかし、船を係留することができないので、手で船首部分をひっぱりながらなんとか上陸。すかさず塩塚さんが「何時に迎えに来るか聞いて!」と指示を出し、船長が答えたのはなんと、27分後!潮がすぐに引いてしまうため、許された時間は30分足らず。急いで島の全貌調査へと向かいます。
町民の願いと町の発展を見守る島
誰も住んでいない無人島で、上陸した人が最初に向かう場所と案内されたのは、島の西端にある「市杵島神社(いちきしまじんじゃ)」。海の守り神として漁業に携わる人々の信仰を集めている神社で、市杵島姫之命(いちきしまひめのみこと)を祀っています。
ここで明かされた島のヒミツ。それは昔、干潮時には陸続きとなり、歩いて行き来できていたということ。しかし1963年、町の工業・貿易の発展のために行われた湾岸の整備により、船の航路を確保するため、道が掘り切られてしまい、満潮時に船で渡るしかなくなったのです。
今では少ない当時を知る町民は、「子どもの頃、歩いて行って遊んでいた島に渡れない寂しさを感じる」と話します。塩塚さんも「苅田港が発展しないと工業や貿易もできない。道を切る判断をした当時の人々も悩んだと思いますが、新しい時代の変化に対応したんでしょう。だからこそ、神聖な島として、伝え残していきたいと思っています」といいます。
島から戻った2人を連れて塩塚さんが向かったのは向山公園(苅田町若久町)。「苅田ガイドの会」として、町の魅力を知り尽くしている塩塚さんおすすめのビュースポットだといいます。昼間も見晴らしの良い景色が広がっていますが、夜になると工場群がライトアップされ、うねるパイプがどこか怪しげに輝く見事な工場夜景が浮かび上がります。
ボビーとジェフ太郎の仲もすっかり打ち解けた今回の調査、神ノ島の「橋渡し」だったのかもしれません。苅田町観光協会では神ノ島上陸のクルージング企画も行っているので、仲を深めたい人と一緒に訪れれば、島の神秘なパワーでご利益があるかも!
■苅田港クルージング(神ノ島上陸)
開催日時:10月5日(土)、11月16日(土)午前10時~ ※荒海・雨天の場合は中止
参加費:1人¥3000(昼食代込み)
定員:20名
問合せ:093-434-5560(苅田町観光協会)
※この記事は2019年の情報です。変更している可能性があります。事前にご確認ください。