フシギなワンダーランド?! アットホームすぎる「齊藤動物園~ふるさとWish小郡市~

動物とのふれあいを学ぶ地元の動物園とは?

福岡県の中央部、佐賀県との県境に位置する小郡市。「七夕の里」としても知られ、全国でも珍しい「織姫様」を祀る媛社神社、通称「七夕神社」があります。旧暦の七夕の季節には、全国各地から届けられた色とりどりの短冊が境内を彩ります。

2019年8月7日(水)放送、九州朝日放送の情報番組「アサデス。KBC」の「ふるさとWish アサデス。旅行社」は、そんな小郡市の中でも、「地元の子どもだけが知っている動物園がある」という情報を入手。困難な調査の末にたどり着いたのは、子どもたちに「命」の大切さを伝える大切な場所でした。

子どもだけが知る?ナゾの動物園

さまざまな動物が飼育されている!?

「動物園?簡単に見つかりそうじゃない?」と、今回のミッションに意気揚々と乗り出したボビー。しかしながら、街の人々は「動物園?小郡にはないよ」、「かえる寺のことじゃないの?動かないけど」と、誰もその存在を知らない様子。そこで、「ここなら知ってるでしょ!」と市役所の広報課で聞いてみると、「動物園…ですか?聞いたことないですね」と、なんと市役所の方もその存在を知らないとのこと。子どもだけが知っている動物園とは、「本物のワンダーランド」なのかも…と諦めモードになったとき、小学生の団体に遭遇しました。

「あぁ!知ってる!」、「家で飼育しとう!」、「鳥とかヤギがおるとこやろ?」、「授業で行くよ」と、次々に有力情報が飛び出します。どうやら、御原(みはら)地区に住む人なら皆、知っているようです。

早速、教えてもらったところに行ってみると、普通の民家。ニワトリの姿は見えますが、「動物園」の雰囲気は見当たりません。しかし、庭先にある建物へと案内されると、そこにはガチョウやウサギ、クジャクの姿が!この家に住む齊藤貢さんが飼育する数々の動物たちが出迎えてくれました。

「動物好き」が高じて…

「齊藤動物園」の“園長”・齊藤貢さん

この「齊藤動物園」では、クジャクやウサギ、ガチョウやウズラのほか、イヌやネコなども飼育しており、小屋の中で気軽に触れ合うことができます。ボビーも早速、ネコと戯れ、顔がフニャフニャ。のびのびと飼育されている愛くるしい動物たちとの触れ合いは、心を和ませてくれます。

齊藤さんは現在、86歳。20代の頃から家でたくさんの動物を飼ってきたといいます。「犬が好きでね。多い時で20頭おったね」と、動物好きが高じて「齊藤動物園」を手作りで作り上げました。過去には、ヤギや七面鳥など種類豊富な動物たちを飼育されていました。

現在、齊藤さんといっしょに、孫の礼(あや)さんが動物たちの世話を行っています。「物心ついたときから動物たちに囲まれていた」と話す礼さん。実は大牟田動物園で飼育員として働いています。ライオンやヒョウなど大型のネコ科動物を担当する礼さんですが、仕事をする上で、幼い頃、齊藤さんに教えられた「怖い気持ちは動物に伝わる」という言葉が励みになったと話します。「たくさんのことをおじいちゃんに教えてもらって、今があると思います。今ではおじいちゃんに教えることが増えましたけど」と笑う礼さんは、飼育員として学んだ知識や技術を生かし、自宅でもより良い環境で飼育できるよう、「齊藤動物園」でも奮闘中です。

祖父から孫へ「想い」は伝わる

祖父から孫へ「想い」は伝わる

取材中も近所の子どもたちが続々と訪れる「齊藤動物園」は、地域の人気スポット。地区の小学校では社会科見学で訪れ、動物との触れ合いを学ぶといいます。街の手作り動物園は、子どもたちの大切な「学び場」でもあるのです。

「かわいいと思うのは、動物たちに興味を持つ第一歩だと思います。でも、“かわいい”の先にあるもの、“死”を知ることも大切なのです」。礼さんはそう話します。動物たちの多くは、人間よりも短命。「死」は避けられるものではありません。だからこそ、「命」の大切さ、温もりを知り、「大切に育てよう」という心が育っていくのです。

こうした礼さんの「想い」も祖父である齊藤さんから伝わったもの。家族間で伝わってきた「命」の大切さを教える学びが、「齊藤動物園」での触れ合いから、地域の子どもたちへと伝わっていきます。

さまざまな動物が「ペット」として家庭で飼育されている今、「最後まで命に責任を持つ」ということを改めて教えてくれる「齊藤動物園」。知る人ぞ知る小さな動物園ですが、その存在は大きなものでした。


※この記事は2019年の情報です。変更している可能性があります。事前にご確認ください。

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