ー豪雨被害から2年ー高取焼宗家の再スタート 夏にビアフェストも~ふるさとWish東峰村~

高取焼の命ともいえる「唐臼」 

2017年の九州北部豪雨で、大きな災害に見舞われた福岡県東峰村。約400年の歴史がある同村の高取焼宗家も、壊滅的な状況に陥りました。作品を焼くための穴窯には、土砂が流入し全壊。高取焼の命ともいえる、土づくりに欠かせない「唐臼」(からうす:川の水流を利用して土を砕くための木づち)も破損してしまいました。アカスギの大木で作られた頑丈な臼が折れてしまうほどの濁流が、同窯元を襲ったのです。

それから2年。窯から登る煙、土を砕く「ギィッ、バタン」という唐臼の音。高取焼宗家には、日々の営みと静かな活気が戻ってきていました。

高取焼宗家の高取七絵さん(中)と14代・春慶さん(右)

アイタガールの國﨑成美リポーターが、高取焼の特徴を14代・高取春慶さんにうかがいます。

「高取焼は柄がなく、一見シンプルに見えます。しかし、7種以上の釉薬(ゆうやく)を使い分けて、器の中に景色を表現します」。高取焼は一子相伝。特徴的な釉薬には「秘伝書」があり、代々陶主のみに受け継がれるといいます。

歴史が詰まった器を手に取った國崎リポーターは「凛として品のある佇まいに魅入ってしまいます…」と感動。そして「軽くて、薄いですね!」とも。「高取焼はその薄さも特徴の一つです。釉薬の色で重厚感があるように見えますが、持つと非常に軽くて使いやすいのです」と春慶さん。


薄いのに丈夫な高取焼 土づくりがすべて

國﨑リポーターは、春慶さんの母で13代・高取八山さんの妻・七絵さんに、敷地内を案内していただきました。川沿いの作業場では、大きく真新しい杉の臼が土をついています。

「高取焼宗家の作業工程の要となっているのは、この『唐臼』です。川の水を利用して土を砕く装置で、約1か月かけて土を突きます。次は水に溶かして、少しずつ濾(こ)します。それを粘土にして2、3か月寝かせ、半年がかりで密度の高い土を作り上げるのです」。同窯元ではこの工程をすべて手作業で行っています。だからこそ、薄くて軽いのに丈夫で長持ちする高取焼が出来上がるのです。

東峰村は、まだ復興半ば。高取焼宗家の敷地内にも、水害の爪痕が残っていました。ですが、七絵さんと春慶さんは前向きです。もう窯元は続けられないかもしれないと心折れかけた2年前。同窯元は多くの人に助けられたといいます。「水害のときは、ボランティアの方々に土砂をかき出していただきました。その感謝はずっと忘れないです」。



キャンプサイトで宿泊することもできる

東峰村では復興にかかわってくれた人々への恩返しの意味も込めて、2019年8月24日(土)に「天空の窯郷ビアフェスト2019」を行います。雨天決行、入場無料。各地のクラフトビールを小石原焼、高取焼のビアグラスで飲める他、カップの販売、ジビエの鉄板焼きなどを予定しています。キャンプサイトも先着で受付中。満点の星空の元で飲むビールは、絶対おいしい! ぜひ足を運んでみてくださいね。

高取焼宗家
福岡県朝倉郡朝倉郡東峰村小石原鼓2511
0946-74-2045

※この記事は2019年の情報です(「PAO~N」6月12日(水)放送、リポーター:國﨑成美【アイタガール】)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。

高取焼宗家

住所:福岡県朝倉郡朝倉郡東峰村小石原鼓2511
電話番号:0946-74-2045

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