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「面相と押絵」(福岡県福岡市)

2024年11月24日

福岡県知事指定特産民工芸品「博多おきあげ」。
おきあげとは、羽子板や壁掛けなどに下絵を描いて、その上に布や綿を使い、立体的に組み上げていく押絵のことだ。
博多には女の子の誕生を祝って贈る習慣があるそうで、羽子板で「厄災を跳ね返す」という意味も込められいる。

「博多おきあげ」の伝統を守り続けているのは、福岡市で活動を続ける清水さん一家だ。現在は二代目と三代目が博多おきあげを制作しており、その伝統を絶やさぬように教室なども開催している。
今回取材したのは三代目の清水裕美子さん。
幼少のころから博多おきあげに関わり、本格的に活動をはじめて30年近くなるという。
そんな裕美子さんが教えてくれた、博多おきあげの魅力は「手描きの面相の繊細さ」と「躍動感のある着物の押絵」だ。

「繊細さ」と「躍動感」。
たしかに細部に宿る伝統の美しさに「繊細さ」を感じることはできたが、飾り物として重宝されている博多おきあげのどこに「躍動感」があるのか。
最初はわからなかったが、じっくり向き合ってみると、折り重なる着物の厚みに「躍動感」が隠されていることに気がついた。
平らの板の上で重なる着物は、数ミリ単位で厚みが違い、その数ミリが印象を大きく変えることに気がついた。

そんな清水さんが未来に残したい風景は「旧高宮貝島家住宅」だ。
筑豊御三家と称され、炭鉱王とも呼ばれた貝島家の住宅が、昭和2年に直方市から福岡市南区高宮に移築された。
日本の伝統を感じることができる住宅と庭園に、裕美子さんも伝統工芸に携わる身として、共感を覚えるとともに、自分を律する気持ちになるそうだ。伝統的な住宅と日本の美を感じることができる庭園。
さらに今では住宅内に茶寮などもできて、心地よい空間となっている。
裕美子さんも散歩をかねて訪れるそうで、その時は博多おきあげのことを忘れて、リラックスできるそうだ。

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