白壁の町並みが残る、うきは市吉井町。
ゆっくりと歩いていると、ふわりと焼きたてのパンの香りが漂ってきます。
その香りの先にあるのが、人気ベーカリー『ぱんのもっか』です。
耳納連山(みのうれんざん)の麓、豊後街道の宿場町として栄えたこの町で、2014年のオープン以来、地域の人々に親しまれてきました。
週末には久留米や福岡市内、さらには県外からも多くの人が訪れ、店先には「店内定員10名」の立て札が置かれるほど。
時間帯によっては入店を待つ人の姿も珍しくありません。
多くの人を惹きつけるその理由は、おいしさだけではありません。その一つひとつのパンには、店主・吉岡さんの歩んできた時間とうきはへの想いが詰まっていました。
◼️「自分のパンで勝負したい」10年の修業を経て
吉岡さんがパン作りと出会ったのは、大手食品会社の飲食部門に配属されたことがきっかけでした。
毎日パンを作るうちに、その奥深さに魅了され、「もっと技術を磨きたい」という思いが芽生えます。そして、高知県内のパン店へ。約10年にわたり修業を重ねました。
人気店での毎日は、想像以上に厳しいものだったと振り返ります。
「朝早くから夜遅くまで、毎日馬車馬のように働いていました。」
たくさんのお客様に喜んでもらうため、ひたすらパンを焼き続ける日々。その積み重ねが、技術だけでなく、自分自身のパン作りへの考え方も育ててくれました。
やがて胸に抱くようになったのが、「自分のパンで挑戦したい」という思いです。
「自分のパンを表現して、お客様を満足させられるか挑戦したかったんです。」
独立はゴールではなく、新たなスタートでした。
◼️素材と個人店に惹かれ、うきはへ
独立を考え始めた頃、吉岡さんは結婚し、お子さんも誕生していました。
仕事に打ち込むだけでなく、家族との時間も大切にできる暮らしを送りたい。そんな思いが、少しずつ大きくなっていきます。
「もっと田舎でゆったりと、仕事も生活もできたらと思っていました。」
妻の実家がある福岡県で店を開く場所を探す中、出会ったのがうきは市でした。
「こだわりの個人店が多くて面白い町だなと思いました。何より、果物をはじめ素材が本当に豊富だったんです。」
果樹栽培が盛んなうきは市は、一年を通してさまざまな旬の果物に恵まれています。その豊かな素材は、パン作りをする吉岡さんにとって大きな魅力でした。
さらに、地域に根付く個人店がそれぞれの個性を大切にしながら営業している町の空気にも惹かれ、この場所で店を構えることを決意します。
今では、住民同士の距離が近く、気軽に相談できる人が周りにいるなど、地域とのつながりも『ぱんのもっか』を支える大切な存在になっています。
◼️毎日食べたくなる、安心できるパンを
『ぱんのもっか』のパン作りは、素材選びから始まります。
主に使うのは、地元・鳥越製粉をはじめとする国産小麦。さらに、うきはで採れた季節のフルーツを取り入れ、パンに使うフィリングもできる限り手作りしています。
吉岡さんが目指しているのは、子どもから大人まで安心して食べられ、毎日でも飽きずに食べ続けられるパンです。
パン作りは、小麦粉を配合し、生地を発酵させ、成形して焼き上げるというシンプルな工程。しかし、気温や湿度によって発酵具合は毎日変わるため、その日の状態を見極めながら丁寧に焼き上げています。
吉岡さんおすすめの「黒糖あんぱん」(税込180円)をはじめ、食べやすく、見た目も楽しいパンがずらり。ソフト系からハード系まで幅広くそろえているのも特徴です。
そんな思いを込めてパンを焼き続ける中で、忘れられない出来事があったといいます。
「『パンを食べなかったこどもが、“もっかの食パンだけは食べる”』と。それを聞いた時は、本当にうれしかったですね。」
これまで積み重ねてきたパン作りへの努力が報われたような気持ちになったといいます。
流行や見た目だけを追いかけるのではなく、客のことを思い、安心して毎日食べられるパンを届ける。その積み重ねこそが、自分たちのパン作りなのだと改めて実感したといいます。
◼️水路沿いのテラスで、焼きたてを味わう
『ぱんのもっか』の店の横を奥へ進むと、水路沿いにテーブルと椅子が並ぶテラススペースがあります。
購入したパンは、その場で味わうこともでき、せせらぎを聞きながら焼きたてを頬張る時間は、この場所ならではの楽しみです。
白壁の町並みを散策したあとにひと息つく人、家族や友人とパンを囲む人、旅の途中に立ち寄る人。それぞれが思い思いの時間を過ごし、ゆったりと流れるうきはの空気を感じています。
パンのおいしさだけでなく、この穏やかな時間も『ぱんのもっか』ならではの魅力です。
◼️目指すのは、地域のソウルフード
吉岡さんが目指しているのは、「人気のパン屋」であり続けることだけではありません。
「地域にもっともっと根ざして、みんなのソウルフードになりたい。」
子どもの頃から食べ、大人になってもまた食べたくなる。そんな地域の暮らしに寄り添うパンを、これからも焼き続けていきたいと話します。
白壁の町並みを散策し、水路沿いのテラスで焼きたてのパンを味わう。
うきはを訪れた際は、地域の人に長く愛され続けるパンとともに、
この町ならではのゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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◼️『ぱんのもっか』
住所:福岡県うきは市吉井町1127-5
電話:0943-75-3303
営業時間:9:00~18:00(※パンがなくなり次第終了)
定休日:月・木曜
駐車場:あり
SNS:Instagram:@pannomocca
https://www.instagram.com/pannomocca/
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※情報は2026年8月時点のものです。最新情報は公式Instagram等でご確認ください。
■ ぱんのもっか
住所:福岡県うきは市吉井町1127-5
Instagram:@pannomocca
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