【3/29かすやパンマルシェ】国産麦と福祉が共に生きる場所『 むぎくらべカフェ』が目指すもの(福岡・粕屋町)【まち歩き】

博多駅から電車でわずか10分、自然と暮らしやすさが共存する福岡県糟屋郡粕屋町。その町に『むぎくらべカフェ』があります。コッペパンサンドと大麦スムージーを看板に掲げながら、障がいのある人たちと一緒に店をつくり上げているカフェです。ただの福祉施設でも、ただのパン屋でもない。その独自の立ち位置について、マネージャーの蓑原幸雄さんにお話を聞きました。

■「農福連携」ではなく「農福共生」

むぎくらべカフェのコンセプトを一言で表すなら、「農福共生」です。

「農福連携というと、農業と福祉が直接結びつくイメージですよね。うちは農作業はしていないんです。でも、国産の麦という一次産業の産物を通じて、福祉と農業が共に生きている場所を作りたくて、"共生"という言葉を選んでいます」と蓑原さんは話します。

バックアップするのは一般社団法人米麦改良協会。日本の麦の国内自給率を上げ、国産麦の魅力を広く伝えることを目的として活動する団体です。実は、福岡県は北海道に次ぐ全国2位の小麦生産量を誇る産地。それほど身近な食材でありながら、国産小麦を意識して口にしている人は多くありません。

「国産の麦って、こんなにあるんだということを知ってもらいたい。まずは食べてもらうことから始まると思っています」。

店で使うコッペパン・トースト・ピザ生地には、九州産小麦「ミナミノカオリ」を100%使用。大麦スムージーには、香川県産の六条大麦「イチバンボシ」をジュレ状に加工したものを使用しています。

■東京のアンテナショップから、粕屋町へ

「むぎくらべ」の歴史は、東京・神田小川町のアンテナショップにさかのぼります。約6年前から3年間限定で展開されていた店舗が閉まった後、米麦改良協会から「就労支援と国産麦普及を組み合わせた形で、どこかで続けられないか」という話が持ち上がりました。

ちょうどそのタイミングで縁がつながったのが、当時福祉事業を手がけていたゼロメディカル社でした。同社は粕屋町と篠栗町で放課後等デイサービスを運営しており、就労継続支援B型事業所の立ち上げを構想していました。コンセプトが合致し、2023年2月、粕屋町の長者原東エリアに「むぎくらべカフェ」がオープンしました。

その後、2025年12月に運営会社は福祉に特化した「株式会社フューチャージニアス」へと移管。スタッフも福祉事業部ごと転籍するかたちで、現在に至っています。

■利用者さんの「やりたい」が、店をつくる

むぎくらべカフェを支えるもう一つの柱が、就労継続支援B型事業所「panaful(パナフル)」です。利用者さんたちは、コッペパンサンドの具材の計量・盛り付け・梱包といった作業を担当しています。パン生地自体は提携パン屋から仕入れていますが、仕上げはすべて店内で行われます。

「利用者さんごとに得意なこと、難しいことは違います。そこをこちらがサポートしながら、できる範囲で楽しく関わってもらえるように、一緒に考えています」。

ここで特筆したいのが、利用者さんの「やりたいこと」を起点に商品が生まれている点です。

カフェではコーヒーも提供していますが、オープン当初は機械でのドリップのみを想定していました。ところが、ハンドドリップコーヒーを独学で学んでいた利用者さんが「自分でやってみたい」と声を上げました。蓑原さんたちはすぐに道具を揃え、今では店のコーヒーはすべてハンドドリップで提供されています。さらにその方は自宅での焙煎も趣味にしていたため、店内に焙煎機を導入。現在は自家焙煎のコーヒーを出すまでに発展しました。

お菓子づくりを希望した利用者さんが生み出したのが、パウンドケーキです。現在の人気商品のひとつとなっています。

「自分でやるにはお金もかかるし、ハードルが高い。でも店という場があれば、まず試してみることができる。売れたら次の展開へ。そういう橋渡しができる場所でありたいと思っています」

自己表現と、社会とのつながりが同時に生まれていく。蓑原さんはその循環を「一緒にお店を作り上げていく感覚」と表現しました。

■実際にいただきました

「チリドッグ」(税込350円)は、穀物の香りが漂うパン生地にウィンナーのジューシーさがよく合い、素材のおいしさがストレートに伝わってくる一品です。国産小麦を使っているからこそ感じられる、生地の風味の豊かさが印象的でした。

大麦スムージー 三種のベリー(税込500円)は、ベリーの酸味と甘さのバランスが絶妙で、大麦のおかげか飲みごたえもしっかり。さらっと飲めるのに満足感があり、ランチのお供にもおやつ代わりにもぴったりの一杯です。

■学割100円引き。子どもたちの「居場所」に
来店客層は地域の住民が中心で、年齢層は幅広く、小学生が友達同士でやってきたり、近所の高校生が放課後に立ち寄ったりすることも珍しくありません。

「子どもたちには特に、居場所みたいな感覚で使ってもらえたらと思っていて。だから学生は全品100円引きにしてるんです」。

店内で宿題をする学生の姿も見られるといいます。食べるも良し、ゆっくりくつろぐも良し。小腹が空いたときにふらっと立ち寄れる、そんな開かれた場所づくりを意識しています。

■これからのむぎくらべカフェ

今後について聞くと、蓑原さんはシンプルにこう答えてくれました。

「国産の麦をもっと多くの人に口にしてほしい。そして就労の場では、利用者さんがのびのびと社会とつながれて、やりたいことを実現できる環境をもっと広げていきたいです」。

難しい言葉は並びません。ただ、そこには福祉と食と地域が静かに交差する、確かな場所の輪郭があります。


■イベント情報|かすやとさくらのパンマルシェ

『むぎくらべカフェ』が出店します!

桜満開の駕与丁公園に、町内外から約20店舗のパン屋さんが大集合する「かすやとさくらのパンマルシェ」。おいしいパンはもちろん、楽しいステージや親子で楽しめるワークショップなど、内容盛りだくさんのイベントです。

ふだんは店舗でしか味わえない、九州産小麦「ミナミノカオリ」100%使用のコッペパンサンドをマルシェに持ち込みます。

当日の出品予定商品(一部):
〈惣菜系〉
・焼きそばパン
・たまごサンド
・てりちき ハニーマスタードソース
・エビッコリー エビマヨ

〈甘味系〉
・あんバター
・抹茶あんバター
・甘味なこっぺ(いちごホイップ&カスタード/マンゴーチョコホイップ/コーヒー羊羹ホイップ)
※内容は変更になる場合があります。
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■『かすやとさくらのパンマルシェ』
日時:2026年3月29日(日)10:00〜16:00
会場:駕与丁公園・粕屋町総合体育館かすやドーム(福岡県糟屋郡粕屋町駕与丁3-2-1)
アクセス:JR長者原駅から徒歩10分
詳細:粕屋町シティプロモーション
Instagram:@kasuya_citypromotion
https://www.instagram.com/kasuya_citypromotion/
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■『むぎくらべカフェ』
住所:福岡県糟屋郡粕屋町長者原東5-2-3
電話番号:092-710-8625
営業時間:10:30〜17:00
定休日:日・祝(土は不定休)
Instagram:@mugikurabe
https://www.instagram.com/mugikurabe/
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■ むぎくらべカフェ

住所:福岡県糟屋郡粕屋町長者原東5-2-3
Instagram:@mugikurabe

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