「SDGs未来都市」に選定されている北九州市では、商店街の活性化を目的としたプロジェクトが進行しています。そのひとつが、シャッター街となっていた商店街に、新たな賑わいを生み出す取り組みです。
かつては多くの買い物客で賑わっていた商店街ですが、大型商業施設やネット通販の普及により空き店舗が増え、現在はシャッター街が目立つのようになっています。そこで北九州市が開始したのが、「シャッターヒラクプロジェクト」です。これは商店街の空き店舗に出店する人を対象に、出店費用などを補助する制度。現在では、年間で20～30件ほどがこの補助制度を利用しているそうです。
■あまおう農家直営パフェも！シャッター街に続々オープン
この取り組みにより活力を取り戻しているのが、北九州市門司区にある『門司中央市場』。近年、シャッターが閉まった店舗が目立っていましたが、今年だけで雑貨店や喫茶店など、6店舗がオープンしています。
2025年3月にオープンした『フルーツガーデン門司港』は、糸島のあまおう農家が手掛けるフルーツパフェの人気店です。オーナーの石井祥清さんは「お客さんがいないと悲しんでいる人の力になりたい」と、あえてこの場所での出店を決意。映えるパフェを求めて多くの若者が訪れるよう、SNSを使って情報を発信しています。
『フルーツガーデン門司港』
北九州市門司区老松町2-11（門司中央市場内）
※営業時間・定休日は公式インスタグラム等でご確認ください。
Instagram@__fruitgarden__
■レトロな写真で思い出を残す！学生が手掛ける「キオク屋」
こちらも『門司中央市場』にオープンした九州大学の学生が運営する“歴史写真館”兼“情報発信の場”である『キオク屋』です。
コンセプトは「昔と今が交差する写真館」。 店内には市場の古い写真が飾られ、訪れた人が歴史に思いを馳せることができます。
メンバーの高畑真衣さんは「市場での思い出を形に残したい」と、過去の写真展示だけでなく、これから訪れる人たちの思い出を残すレトロなチェキ撮影や、お客さんが自由に書き込めるマップ作りなど、さまざまな情報の発信を行っています。
「市場の今と昔を知り、愛着を持ってもらいたい」と願う高畑さん。若者の感性が、歴史ある商店街に新しい風を吹き込んでいます。
『キオク屋』
北九州市門司区老松町（門司中央市場内）
■介護の未来を変える！北九州発の最先端ロボット技術
一方で、北九州市では、産学官が連携した未来への大きなプロジェクトも進行中です。
若松区の『九州工業大学』では、介護業界の未来を変える最先端ロボットの開発が行われています。なかでも注目は、パーキンソン病特有の「足を動かしたいのに動かせない」という症状をサポートする歩行アシストロボットです。重心移動によって歩き出しをスムーズにするほか、顔や首の角度から進行方向を推定するなど、人の意図汲み取る画期的な技術の実現を目指しています。また、モニターから表情や歩行速度・時間を計測し、一人ひとりに最適なアシストを提供します。
その他、人の動きを学習して着替えを手伝ってくれる「着衣介助ロボット」 や実用化が近いとされるAIロボット「SABO」など、介護の現場を変えるロボットが次々と誕生しています。
AIロボット「SABO」は、足元のセンサーで人を追従し、介護士の目が届かない場所での見守りを可能にします。入居者が部屋に戻ったかの把握や体調管理、会話によるコミュニケーションも可能です。少ない人材で多くの高齢者をケアする現場では、どうしても基本的な介助に追われ、心のケアが後回しになってしまうことが課題です。「よりよい個別のケアを実現できる社会のためにロボットが必要」だと開発者は話します。頼もしいテクノロジーが、介護現場の救世主になろうとしています。
環境未来都市としての経験を持つ北九州市。
「社会課題に取り組む力強いDNAが備わっている」と、専門家の川廷昌弘教授も太鼓判を押します。
人の温かみを感じる商店街の再生と、生活を支える最先端技術。その両輪で進む北九州市の挑戦から、今後も目が離せません。
※営業時間などは変更される場合があります。事前にご確認ください。
※九州朝日放送 2025年12月10日「地元応援live Wish＋」の放送内容です。
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