福岡県古賀市の薬王寺地区、水辺公園の目の前に広がる自然豊かな森の中に、週末だけオープンするジェラートと自家製パンの店『Nicofrutta(ニコフルッタ)』がある。2024年6月30日にオープンしたこの店は、耕作放棄地の再生と地元食材の活用という、農業生産法人ならではの想いから生まれた。スタッフの大熊さんに、開業の経緯やこれからの展望について話を聞いた。
■耕作放棄地を活用した加工場という挑戦
「もともとジェラート屋さんをやろうと始めたわけではなくて」と大熊さんは開業の経緯を語る。母体となる農業生産法人が耕作放棄地を購入し、地元の農産物を使って何かできないかと考えた結果、自然の中に加工場を作るというアイデアが生まれた。「街中にというよりは、自然の中でという思いがありました」。
なぜジェラートだったのか。その答えは、農産物の可能性を最大限に引き出せる加工品だからだという。「野菜だったり、フルーツだったり、牛乳も農産物。いろんなものを何でも全部できて、いろんな方に食べてもらえる入り口だと思いました」。さらに、市場に出回りにくい規格外品を加工すれば、美味しいものに変えられるという利点もある。
ジェラート (シングル税込550円・ダブル税込650円)
■古賀から九州へ、広がる食材の輪
原材料の選定基準は明確だ。「まずは古賀市。で、その近隣の福津とか。大きく言えば福岡で、九州で」。可能な限り地元の食材を優先的に使用するという姿勢が貫かれている。
敷地内にはオリーブの木やブルーベリー、下の方にはニンニクやレモンの木も植えられている。ただ、ブルーベリーは鹿の食害で収穫がほぼゼロに。「移植する前まではすごい豊作だったんですけど」と残念そうに話すが、「来年以降の収穫次第では使用できれば」と、自家栽培の作物を商品に活用する日を楽しみにしている。
■ジェラートを軸に、広がる商品展開
今後の商品展開については、「ジェラートを他の場所でも展開していきたい。パンにも力を入れていきたい」。さらに、顧客からリクエストの多いスープの販売も検討中だという。
ただし、あくまでもメインはジェラート。「ジェラートを購入されたお客様が、これもいいね、あれもいいねでプラスで買ってもらえたら」の位置づけだ。
■自然の中で癒される、特別な空間
薬王寺という場所を選んだ理由は、耕作放棄地の活用という目的もあったが、この場所が持つ独特の価値にもある。「お客様が常時いらっしゃってというわけではないけど、やっぱり自然の中でちょっとゆっくりしたいとか、わざわざ食べに来てもらうということに価値がある」。
訪れる客層も特徴的だ。「結構、男性お一人でいらっしゃる方も多くて。お好きなものを購入されて、ゆっくりしていかれます。」。リピーターも多く、決まったフレーバーとコーヒーを注文して一人で過ごす常連客もいるという。
大熊さん自身も、「ここに来ると心が落ち着く。浄化されてる感じもあります」と話す。
店舗の設計にも、自然を楽しむ工夫が凝らされている。シンボルツリーの桜をはじめ、松やハーブ、石の配置に至るまで、オープン後も少しずつ変化を加えている。「紅葉はここが一番きれいやったよって、昨年お客さんがおっしゃってました」。春の桜、秋の紅葉と、四季を感じられる空間づくりが進んでいる。
■『Nicofrutta』が古賀の新しい魅力に
店名の『Nicofrutta(ニコフルッタ)』は、「ニコニコ」とイタリア語で果物を意味する「フルッタ」を組み合わせた造語。「若い人が『ニコフル』と略してくれたりするかなという思いで」と、「ニコフル」という愛称にも期待を込める。
今後の展望について、大熊さんは、小規模な店舗を複数展開し、この薬王寺の店を製造拠点とする構想についても話してくれた。
。まだまだ知られていない古賀の魅力を、ニコフルッタを通じて伝えていきたい——そんな想いが、この森の中のジェラート店には詰まっている。
週末のドライブがてら、自然の中で味わうジェラートとパン。古賀市の新しい魅力を、ぜひ体験してみてはいかがだろうか。
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■『Nicofrutta(ニコフルッタ)』
住所:福岡県古賀市薬王寺369(薬王寺水辺公園前)
営業日:金・土・日曜
営業時間:金曜 11:00~17:00、土・日曜 11:00~17:30
Instagram:@nicofrutta_farm
https://www.instagram.com/nicofrutta_farm/
公式サイト:https://nicofrutta.jp/
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