■好きなものを詰め込んだ、癒しの時間を届ける店
2025年10月7日、古賀駅西口商店街の複合施設『GOJŌ』内に、一風変わった店がオープンした。花とナチュラルワインを楽しめる小さな店『kivi(キヴィ)』だ。
ドライフラワーが天井から優雅に下がり、野生的な枝物や葉ものが並ぶ店内。グラス片手に花を選び、ゆったりとした時間を過ごす――そんな贅沢な体験ができる空間が、福岡・古賀の地に生まれた。
■「好きなもの同士を組み合わせたかった」
店主の永谷さんは、もともとドライフラワー専門店で店長として働いていた花のプロ。そして、無類の酒好きでもある。
「東京では、花屋さんでお酒が飲めるお店もちらほらあって、ずっといいなぁと思っていました。私自身、お酒や酒場の雰囲気がすごく好きなので、自分の"好き"を掛け合わせたお店の方が、気持ちも上がるし、モチベーションにも繋がっている気がします」
そう語る永谷さんの目の前にあるのが、日本酒、焼酎、クラフトビール、ナチュラルワインなど、こだわりの酒を豊富に揃える『ノミヤマ酒販』。子どもが就園し、自分の時間が少しできた頃、「お花屋さんをやってみませんか?」とオーナーから声をかけられたことが、『kivi』を始めるきっかけになった。
■ナチュラルワインと花、その絶妙なマリアージュ
『kivi』で提供されるワインは、すべてナチュラルワイン。酸化防止剤などの添加物を極力使わない、体に優しいワインだ。
「癒されるような、優しい雰囲気のワインが好きなんです。重たいタイプより、スルスルと飲める軽やかなものをよく選びます」。
価格は一律税込850円。イタリアを中心に、永谷さん自身が「好き」と感じたものだけを厳選している。『ノミヤマ酒販』から「これkiviさんっぽいですよ」と提案されたワインを試飲し、気に入ればラインナップに加える。そのシンプルな基準が、店の個性を際立たせている。
花は、市場から毎日のように仕入れる。ロスを最小限に抑えるため、量は控えめ。ドライフラワーのスワッグや生花のブーケも、オーダーメイドで対応する。
「後々はお花の種類も増やしていきたいと思っていますが、選択肢が多すぎるとかえって迷ってしまうことってありますよね。ある程度選択肢が絞られている方が、気持ちがラクだったり、選びやすいと感じることも多いので、今のこのスタイルもある意味ではメリットかなと思っています」。
その言葉通り、店内には厳選された花々が並ぶ。可愛い系よりも野生的な植物を好むという永谷さんのセンスが、店の雰囲気を形作っている。
■「角打ち」との連携で生まれる、新しい楽しみ方
『kivi』の魅力は、隣接する『ノミヤマ酒販』の「角打ち」との絶妙な関係性にもある。
「角打ちって、私自身は大好きなのですが、焼酎や日本酒を楽しむ方が多く馴染みのない女性にとっては少し入りづらい雰囲気もあると思うんです。『kivi』はお花とワインがメインなので、そういう場所に行きづらいと感じている方の"受け皿"のような存在になれたら嬉しいなと。ここをきっかけに、角打ちの魅力に気づいてもらえたら嬉しいです」。
『kivi』で気に入ったワインは、『ノミヤマ酒販』で購入して帰ることもできる。仕事帰りにふらっと立ち寄り、グラス片手に花を眺める――そんな贅沢な時間の使い方ができる場所だ。
■地域をつなぐ「ハブ」としての役割
『kivi』の近くには、『new public saloon』などテイクアウトができるお店もいくつかある。
「『new public saloon』さんは、『kivi』で出すおつまみを一緒に考えてくださったり、注文が入ると電話一本で届けてくださったり…。周りのお店の方が『kivi』を紹介してくださることも多くて、自然とあたたかいつながりが広がっているなと感じます」。
古賀市全体でも、店同士が互いに紹介し合うような文化が根づいているという。
「古賀には素敵なお店がたくさんあるので、『kivi』に来ていただいたついでに、他のお店にもふらっと立ち寄ってもらえたら嬉しいです」。
『kivi』は、地域の"ハブ"として、人と人、店と店をゆるやかにつなぐ存在を目指している。
■「流行」より「本当に好きな人」へ
来月にはヨガスタジオでクリスマス用スワッグのワークショップも予定している。ただ、永谷さんが目指すのは、流行りに乗った一過性の人気ではない。
「流行らせたいというよりは、少しずつ本当に好きになってくれる人を増やしたい。写真映えのために来るというよりも、長く愛されるお店にしたいんです」。
花とワインを本当に愛する人たちに、ゆっくりと楽しんでもらいたい――その想いが、『kivi』の根底にある。
■フィンランド語で「石」を意味する店名に込めた想い
「kivi」は、フィンランド語で"石"を意味する。
「昔から石が好きで。道端に転がっているようなものから宝石まで、自然の中にある"歴史を感じるもの"に惹かれるんです。"キヴィ"という響きもかわいくて、自然にまつわる言葉を探していた時に、これだ!って思いました」。
シンプルで、どこか温かみのある名前。それは、この店が目指す「生活を豊かにする嗜好品」としての在り方を象徴しているようだ。
取材中、永谷さんの「花もワインも、なくても生きてはいけるけど、あるだけで暮らしがちょっと豊かになる。『kivi』もそんな存在になれたらと思っています」という言葉が印象的だった。忙しい日常の中で、ふと立ち止まり、花を愛で、ワインを楽しむ。そんな"余白"の大切さを、『kivi』は静かに教えてくれる。
古賀駅にふらりと立ち寄ったら、ぜひこの小さな癒しの空間を訪れてみてほしい。
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■『kivi(キヴィ)』
住所:福岡県古賀市天神1−2−12(複合施設「GOJŌ」内)
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日・月曜
Instagram:@___kivi.__
https://www.instagram.com/___kivi.__/
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■ kivi(キヴィ)
住所:福岡県古賀市天神1丁目2−12(複合施設「GOJŌ」内)
Instagram@___kivi.__
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