福岡県ブランド牛「博多和牛」!生産者直営店『堀ちゃん牧場』で味わう極上ステーキの魅力(福岡県)【ふるさとWish】

■堀田代表が語る、畜産業54年間の想いと美味しさの秘密

福岡市西区今宿の山あいで54年間にわたって牛飼いを続ける堀田和秀代表(71歳)。博多和牛ブランドの立ち上げメンバーとして福岡県の畜産業界をリードしてきた堀田代表に、今宿駅前にある直営店「堀ちゃん牧場 今宿駅前店」で、博多和牛の魅力について詳しくお話を伺いました。

■博多和牛ブランド誕生の背景

「博多和牛ブランドを立ち上げたのは、今から25年前のBSE(狂牛病)がきっかけでした」と堀田代表は振り返ります。県内42戸の肥育農家が「生産者の会」を結成。安心・安全な牛肉の生産とブランド化を目指しました。
「それまでは福岡県の牛は『福岡牛』として、F1やホルスタインと区別がつきにくい状況でした。そこで和牛だけに『博多』を冠することで差別化を図り、商標登録を行いました。今年でちょうど20年になります」

■畜産農家による精肉店という新機軸

BSE問題を機に、堀田代表は大胆な決断を下します。牧場内に精肉店を開設したのです。
「安心・安全を牧場から直接発信したかったんです。冷蔵庫や機械を揃え、小屋を改造して妻と2人で始めました。畜産農家が精肉店をやるなんて、普通はありえないことでした」
以前から肉の加工に興味があった堀田代表ですが、包丁を握るのは初めて。先輩の肉屋に教わりながら、試行錯誤の日々が続きました。そして平成30年春には、より多くの方に美味しい肉を届けたいという想いから、今宿駅前店をオープン。現在は家族とスタッフで店舗を切り盛りしています。

■博多和牛のブランド価値

博多和牛の定義は明確です。「福岡県内で育てられた3等級以上の黒毛和牛で、県内産の稲わらや米を飼料として使用すること」が条件となっています。
「実際には3等級の牛はほとんどいません。4等級、5等級が6~7割を占めており、私たちはA5ランクの最高品質を目指しています」
現在、約40戸の生産者が6000頭以上を飼育し、年間約3300頭を出荷しています。
「黒毛和牛という点では他のブランドと共通していますが、松阪牛が雌牛限定といった独自のこだわりがあるように、博多和牛は福岡県産という産地の特色を活かしています」
福岡県は九州一の米どころという利点を最大限に活用。「良質な稲わらが豊富に手に入るため、外国からの輸入藁に頼る必要がありません」

■堀田代表の一貫経営システム

堀田代表の牧場では、母牛の飼育から始まる完全一貫生産を行っています。
「種付けから出産、肥育、出荷まで約27ヶ月。すべて自分たちで手がけています」
この一貫システムにより、牛の状態を常に把握し、最適な飼育管理が可能となっています。
「育てた牛は一度市場で販売し、保険所の許可を得て正規に買い戻しています。手数料もきちんと支払い、透明性のある取引を心がけています」
自分の牧場の牛だけでなく、博多和牛の普及のため、他の生産者の優良な牛も積極的に買い取っています。

■博多和牛が美味しい理由

「美味しさの基本は、愛情を込めた飼育管理と良質な稲わら」と堀田代表は強調します。
堀田代表自身も10ヘクタールの水田でお米を栽培。「博多和牛の生産者のほとんどが米作りもしています。自家製の稲わらを飼料として活用することで、生産コストの削減にもつながっています」
「博多和牛の特徴は、柔らかく食べやすく、口当たりが良くて、くどくないこと」
特に重要なのは「油の質」だといいます。「赤身であっても細かい脂(サシ)が入っていることが大切。オレイン酸などの数値を測定し、より良い血統を選んでいます」

■シンプルな調理法が一番

「塩コショウにポン酢、わさび醤油で食べるのが最高です。ステーキは中火でゆっくりと、肉の内部に熱が伝わってからひっくり返すのがコツです」
焼き加減は「火を通しすぎず、少し赤みが残る程度」が理想的。
「どこを食べても美味しい牛を作るためには、やはり油の質が重要なんです。これからの季節なら、しゃぶしゃぶやすき焼きも最高ですよ」

■持続可能な畜産業を目指して

物価高騰により、畜産業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
「外国産飼料への依存で経費がかかりすぎています。ロシア・ウクライナ情勢の影響で、流通コストは半分も上昇しました」
「もっと環境に優しく、コストをかけずに生産できる方法を模索しています。国産の牧草や工夫した飼料を活用し、生産コストを下げて美味しい牛肉を作りたい」
堀田代表は、過度なサシ(脂)の追求だけでなく、赤身志向も視野に入れた持続可能な技術の確立を目指しています。
「生産者も消費者も気軽にお肉を楽しめるよう、持続可能な経営が不可欠です。美味しい肉をより低コストで提供できることが私たちの願いです」

■地域との絆を大切に

現在、堀田代表の家族は店舗運営にも携わっています。長男、三男、次女がそれぞれの専門性を活かし、事業を支えています。
「お客様から『美味しかった』と言っていただけることが一番の喜びです」
「『堀ちゃん祭り』というイベントを開催しています。秋の10月頃には新米の販売イベントなどを企画したいと思っています」

■ブランド普及への取り組み

「次世代への働きかけとして、福岡市では学校給食に博多和牛を提供してもらっています。小さい子どもたちに認知してもらうことで、将来的なブランド普及につながると考えています」
ブランド立ち上げ時には、県やJAとの連携により、福岡県全体を巻き込んだ取り組みを実現。糸島牛や筑豊牛といった地方ブランドも博多和牛の中に含める形で、統一したブランド力を構築しました。

■実食レポート:サイコロステーキ定食を味わう

取材後、今宿駅前店で「サイコロステーキ定食」(税込1,880円)をいただきました。
鉄板で供される一口サイズの博多和牛は、表面は香ばしく焼かれ、中はほどよいピンク色を保っています。堀田代表が語っていた「中火でゆっくり」の調理法が活かされているのがよくわかります。


口に含むと、まず感じるのは肉の柔らかさ。歯切れが良く、噛むほどに甘みのある脂の旨味が口の中に広がります。「くどくない」という表現通り、脂の質の良さが実感できます。
定食には、ご飯、味噌汁、サラダが付きます。特に印象的だったのは、肉の旨味とご飯の相性の良さ。堀田代表が自ら手がけた「堀ちゃん米」との組み合わせは、まさに牧場の循環農業の成果を味わう贅沢な体験でした。
「どこを食べても美味しい牛を作る」という堀田代表の言葉が、一口一口に込められていることを実感できる一品でした。

■取材を終えて

堀田代表との対話と実際の味わいを通じて感じたのは、博多和牛への深い愛情と、畜産業の未来への真摯な想いでした。BSE問題という逆境を機に新たな挑戦を始め、25年間にわたってブランドを育て上げてきた実績は、まさに愛情と技術の結晶といえます。
「持続可能な畜産業」という言葉が示すように、堀田代表の視線は常に未来を向いています。生産者と消費者、双方が満足できる仕組みづくりへの挑戦は、これからも続いていきます。
福岡県が誇る博多和牛の背景には、こうした生産者の弛まぬ努力と革新への意志があります。今宿駅前店で味わえる博多和牛の一口一口に込められた想いを、ぜひ多くの人に知ってもらいたいと思います。

■堀ちゃん牧場 今宿駅前店
住所:福岡市西区今宿駅前1丁目9-2
電話:092-836-5729
営業時間:10:00~17:00(ランチ 11:00~)
定休日:火曜(祝日除く)
HP:https://horichan.jp/
Instagram:@horichan_bokujyou
https://www.instagram.com/horichan_bokujyou/

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