
農園から生まれる絶品石鍋スープカレー!上毛町の隠れた名店「ナチュラルファーム菓樹」(福岡・上毛町)【まち歩き】

福岡県上毛町の国道10号線沿いに佇む白いカントリー風の建物。一見普通のケーキショップに見えるこの店が、スープカレーの名店として地元で愛され続けています。「ナチュラルファーム菓樹」は、店舗横の農園のいちごを使ったスイーツから20種類以上のスパイスを使った本格スープカレーまで、農園と食卓を結ぶ唯一無二の空間です。
■家族の絆が生んだユニークな店舗コンセプト
「最初はケーキ屋だけだったんです」と語るのは、代表の西川さん。もともとは母親がケーキ店を始め、差別化とインパクトを狙って店舗横にいちごハウスを併設したのが全ての始まりでした。
西川さん自身は大阪で工業系の仕事に従事していたが、家族の要請でUターン。兄はパティシエの修行経験を積み、家族それぞれが得意分野を活かしながら、現在の「農園菓子工房」という独特な業態を築き上げてきました。
「ケーキ屋の横にいちごハウスを建てて、そこだったらインパクトがあるかなって」。
この戦略的な発想が、後に自家栽培農産物を活用した商品展開の基盤となりました。現在ではいとこが農園を引き継ぎ、栽培されたお米、いちごを100%使用したソフトクリームやパフェ、上毛町産のレモン・ナスなど、できる限り地元産の農産物を活用しています。

■北九州地区では珍しいスープカレーとの出会い
ケーキ店として20年の歴史を持つ同店に、新たな柱として加わったのがスープカレーでした。導入のきっかけは、フードプロデューサーをしている親戚からのレシピ提供。
「高知県で出したスープカレーの評判が良くて、こっちでも出そうということになったんです。当時、この辺りにはスープカレー店がほとんどなくて、札幌で話題になってきたぐらいの時期でした」。
20種類以上のスパイスを独自にブレンドし、石鍋で提供される熱々のスープカレーは薬膳効果も期待できます。 夏バテや二日酔いにも効果があるといい、健康を意識した地域住民にとって貴重な存在となっています。
特に人気なのが、ライスの代わりに春雨を選択できるシステム。春雨をカレーの中に直接入れて提供するスタイルは他では味わえない独創性で、多くの常連客を魅了しています。
■地域に根ざした憩いの場として
「上毛町自体に飲食店が少ないので、少しでも町の発展に貢献できれば」と語る西川さん。主婦層を中心に、旅行客、デートで訪れる若者、高齢者、土日の家族連れまで幅広い客層が足を運びます。

店内は白を基調としたカントリー風の内装で、壁には農機具がディスプレイされ「農園」らしさを演出。テラス席はペット同伴可能で、誰もが気軽に立ち寄れる雰囲気づくりを心がけている。
「都会みたいにおしゃれすぎると入りづらいので、アットホームな感じでやっています」。
■看板メニューに迫る
今回いただいた「農園野菜と自家製もち豚チャーシューのスープカレー(税込1,300円)」は、じゃがいも・人参・玉ねぎなどの野菜がゴロゴロ入ったスープカレーに炙ったトロトロもっちりなもち豚チャーシューが入っている贅沢な一杯。

ライスは十穀米、バターライス、春雨から選択でき、量も150g、250g、350gから調整可能。健康やバラエティに配慮したきめ細かいサービスが光ります。
またいちごの時期には、自家栽培のいちごを100%使用したソフトクリームやパフェが店頭に。濃厚で自然な甘さのいちごソフトは、スポンジケーキ、バニラアイス、自家栽培いちごと組み合わせたパフェとして提供されています。
■ふるさと納税で全国へ
上毛町のふるさと納税返礼品として「スープカレー 5種セット」を出品。冷凍カレーの反響は予想を上回り、まとめて親戚や知人に送る人も多いといいます。
「冷凍なら全国どこでも送れるし、自動販売機での販売も開始して、新たな販路の可能性を感じています」。
■変わらない味への想い
「長年やっているので、都会に出た子供たちが夏休みや正月に帰省した時、家族で昔と変わらない味を楽しめるような、思い出の場として残していきたい」。

西川さんの言葉からは、地域に根ざした店舗としての使命感が伝わってきます。安定した味と雰囲気を守り続ける姿勢こそが、多くの人に愛され続ける理由ではないでしょうか。
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■『農園菓子工房 ナチュラルファーム菓樹』
住所: 福岡県築上郡上毛町吉岡609
電話:0979-72-2410
営業時間: 11:00~18:00(L.O. 17:00)
定休日: 木曜
Instagram:@naturalfarm_kajyu
https://www.instagram.com/naturalfarm_kajyu/