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「日常の継承」(福岡県嘉麻市)
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嘉麻市で創業して102年になる森政食品。
今では4代目の父・串間徳男さんと5代目・良徳さんを中心に家族で豆腐を作っている。
昔ながらの技法で作られる森政食品の豆腐は、まさに「おいしそうな豆腐」だ。
白くて弾力がありそうで、醤油とよく合いそうなフォルムが食欲をそそる。
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良徳さんは、これまでの豆腐の味を守りながら、これからの豆腐作りにも精力的だ。
嘉麻市で収穫される青大豆で作った「嘉麻ひすい」は、全国豆腐品評会で5位に入賞。
102年目の老舗店でも、まだまだ味を追求している。
豆腐が当たり前のように食べられる日常は、こういった職人の努力によって継承されていると感じた。
そのような豆腐を食べることが出来る私たちは、幸せだと思う。
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そんな良徳さんが未来に残したい風は「稲築公園」だ。
淡々と作業をこなす姿からはわからないが、仕事で抱えるストレスは少なからずあるそうだ。
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そんな時に、英彦山まで見える展望台で子どもを抱えのんびりするのが5代目のリフレッシュ法だ。
稲築公園には万葉歌人・山上憶良の「嘉麻3部作」の石碑があり、その中に「銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」と読まれた歌がある。
きっと嘉麻市の風景は、山上憶良も刺激されるような、郷愁を誘う風景なのだろう。
※この記事は2023年の情報です(「STORY」2月12日放送)。