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「幸せを結う」(福岡県田川郡大任町)
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大任町で毎年10月から12月にかけて、しめ縄作りをしている中野廣育さん。
道の駅での販売の他、地元の神社や役場などのしめ縄も手掛けている。
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中野さんのしめ縄づくりは、藁集めから始まる。
その年の刈り取った藁を乾燥させ、しめ縄づくりに適した藁だけを選別して、やっと作業に取り掛かることができる。
作り方は昔ながらの手作業で、足の指に挟んだ藁をねじりながら編んでいく。
寒空の下、手足をむき出しにするこの作業は実に根気が必要だという。
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昔はどの家庭でしめ縄や草履などを編んでいたため、誰でも作ることができた。
中野さん自身も、おじいさんが編んでいたのを見て学んだそうだ。
今では手作りできる人も少なくなり貴重な存在となってしまった。
新年の縁起物として、自分のしめ縄で、各家庭が幸せになってもらえたらと語る。
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そんな中野さんが未来に残したい風景は「東白土地区の田園風景」
長年この地に居を構え、畑仕事に精を出してきた中野さんにとっては、何気ない風景ではあるが、人生で一番見てきた風景でもあり、思い入れもひと際強い。
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向かいの山に陽が沈むころ、広い畑の中に佇む菅原神社の鳥居が夕日に照らされる。
長く見てきたこの景色は、昔ながらのしめ縄作りのように、変わらず残っていってほしいと願う。
※この記事は2022年の情報です(「STORY」12月25日放送)。