【日の隈窯❶】 「和紙とだみ筆」勝田文博さん
2026年10月11日

佐賀県神埼市神埼町尾崎。この地で鎌倉時代から続くとされる尾崎焼。
一度は途絶えたそうですが、日の隈窯の勝田文博さんを中心に復元。
その際に、文博さんは古文書を紐解き、尾崎焼の技法「いぶし焼」も現代に復活させました。

現在、日の隈窯で尾崎焼よりも多く作陶されているのが「和紙染」です。
46年前、文博さんが武雄市から尾崎地区に移住する前に習得した技法です。
文博さんは歴史ある尾崎焼にも和紙染の表現を取り入れることで、独自の作風を確立しました。
伝統を守りながら、新たな可能性を追求する姿勢が、現代の暮らしに馴染む美しい器を生み出しています。

和紙染めに欠かせないのが「だみ筆」と呼ばれる特殊な筆です。
筆先が大きく、絵の具をたっぷりと含ませることで、量を調整しながら絞り出すことができます。
文博さんは、地元の自然をモチーフに、熟練の技によって尾崎地区の美しい四季の表情を器の上に鮮やかに描き出します。
その想いは、元料理人の息子・慎さんにも受け継がれています。

文博さんが未来に残したい風景は、工房からも見える「日の隈山」です。
富士山に似た美しい形から「西郷富士」とも呼ばれ、地域の人々に親しまれています。
尾崎地区に「日の隈窯」を構えて46年。文博さんは、「近隣の方々の優しさに支えられて今がある」と語ります。
彼にとって日の隈山は、日々の創作意欲をかき立てる源泉であり、地域への深い感謝をの心を呼び起こしてくれる大切な存在です。