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【硯職人➋】「お墨付き」堀尾信夫さん・高原祐二さん

2026年09月06日

山口県下関市にある玉弘堂は、1896年の創業から130年の歴史を重ねる、市内唯一の「赤間関硯(あかまがせきすずり)」工房です。
堀尾信夫さん(83)が作る硯は、柔らかい質感を生かして、一般的な硯の概念にとらわれず、自由な造形を追求しています。
「自らの代で終わり」と決めていた堀尾さん。
しかし工房では今、高原祐二さん(69)と中村一姫さん(40)の2人の弟子が、その隣で技術継承に向け石を削っています。

一番弟子は高原祐二さん。
堀尾さんに師事したのは37年前。
ひょんなことから玉弘堂に初めて足を踏み入れたとき、堀尾さんと先代の作品を一目見て、圧倒されたそうです。
石でありながら木彫りのような柔らかい質感や、美しい彫刻の数々に惚れ込み、弟子入りを決意。
それから1年間足繁く通いつめ、ようやく弟子入りを許されたといいます。
「先生の美しい線やノミの使い方など、まだまだ盗まなければいけない」と、さらなる技術向上を目指しています。

妹弟子の中村一姫さんは、大学で岩石の研究をしていた際に堀尾さんの作品との出会いを機に、硯司を目指して修行に入りました。
堀尾さんや高原さんと同じく、数々の展覧会での受賞歴を誇ります。
「師匠からは技術だけでなく、精神も教えていただいている気がします」と語る中村さん。
何もない1枚の石からあらゆる造形を生み出すものづくりの楽しさを受け継いだ彼女の作品に、大きな期待が寄せられています。

堀尾さんは2人の弟子について、「もう技は修得していますから、私の作品から離れ育ってくれたら嬉しい。あとは生き様をかけることを大切にして欲しい」と語ります。

師匠と弟子の3人が訪れたのは、中国地方を代表する名刹、「功山寺」。700年の歴史を持ち、唐様(禅宗様)仏殿は国宝にも指定されています。
下関市長府地区のこの曹洞宗の禅寺は、高杉晋作が創設した「奇兵隊」の挙兵の地としても知られています。
高原さんは、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根の曲線の美しさを目にすると、心が洗われるような気持ちになるそうです。
赤間関硯の歴史を受け継ぐ3人。
かつてこの地で活躍した偉人たちが残した書も、赤間関硯から生み出されたものだったのかもしれません。

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