【みんなで防災】「窃盗を恐れる人が多い」災害ボランティアが語る熊本地震の被災地。見過ごされる在宅避難者の苦悩
2026年08月25日
[番組で紹介した情報]

【KBCラジオ『ヒルマニ』のコーナーでは、毎週火曜日、KBC防災ネットワーク主幹・太田祐輔解説委員とKBC加藤恭子アナウンサーが、防災に関する様々な情報を発信しています。】
今回の放送では、7月28日に発生した熊本地震の被災地でボランティア活動を続ける、筑後市の防災士・吉武章 (よしたけ・あきら)さんが登場。
発災から約1か月が経った現地の過酷な状況や、報道だけでは見えにくい「在宅避難者」が抱える問題、そして他の被災地では見られなかったという新たな課題について、生々しい現場の声を届けました。
■「まだ水が出ない」「お風呂に入れない」被災地・氷川町の変わらぬ現状

7月28日に発生し、災害関連死を含め40人近くが亡くなった熊本地震。
KBCで地域リポーターも務める防災士の吉武さんは、発災直後から震源に近い熊本県氷川町でボランティア活動を続けています。
太田:吉武さんは、地震の後、どちらで熊本のですね、どちらで活動を行ったんですか?
吉武さん:はい、震源に近い氷川町のほうに入らせていただきました。
太田:氷川町の様子は、いかがでしたか?
吉武さん:まだ生活用水とか十分使えないところとかですね。
水道が出ても、ちょろちょろとしか出ない、濁ったのが出たりですね。
大変な思いですね。
やはり生活用水が足りなくて困ってるっていう方が多いですね。
吉武さんは8月1日から現地に入り、被災者の聞き取り調査を開始。
その後も6回にわたって現地を訪れ、必要な物資をピンポイントで届ける活動を続けていると言います。
発災から1か月近く経っても、現地の人々の困りごとは「あまり変わらない」と話します。
吉武さん:やはり、暑さとお風呂に入れない、水を十分使えない、トイレを十分に使えない。
あと、いつまでこんな生活が続くのか。
今、夏場だから衣類は少なくてもいいんですけども、秋、冬になってもこんな避難生活を続けるにはどうしたらいいのかっていうような不安を抱えてます。
■窃盗を恐れる人が多数、支援物資は届かず…被災地で見えた「新たな課題」

吉武さんは、これまでの災害支援活動では見られなかった、今回の被災地特有の問題点を指摘します。
太田:他の被災地とこう比べて、熊本、この辺が違うとか、この辺が一緒だなあっていう風なとこってあったりしますか?
吉武さん:はい。
ええっとですね、他の被災地と変わったっていうのは、やはり窃盗に警戒している人が多いですね。
加藤:ああ…。
吉武さん:倒壊した家屋から離れられないっていう人が何人かおいでになりました。
今まではそんなことなくて。
家のそばで車中泊をやる、家族で交代して車中泊をやって家を見守りっていうかですね、そういう窃盗から防ぐっていうような方が何人かお会いさせていただきました。
家を空けることへの不安から、避難所へ行かずに車中泊や、倒壊した家屋の軒下で生活する「在宅避難者」がいます。

しかし、そうした人々には行政の支援が行き届きにくいという現実があります。
吉武さん:困っているのは、避難所には段ボールベッドなどが届いているんですけど、在宅避難しているところやベッドがないんで、高齢者が寝起きが大変っていう。
さらに、支援物資の配分にも課題があると言います。
吉武さん:支援物資のあり方、配り方というのを変えていかないといけないと思うんです。
いろんなところが直接避難所に持って行かれるんですけどその避難所に同じ物は山ほどあるわけですよ。
避難所では物資が余る一方、本当に必要としている在宅避難者には届かない。
このミスマッチが、被災者の苦しみをさらに深刻なものにしています。
個々のニーズを汲み取り、ピンポイントで支援を届ける活動の重要性が浮き彫りになっています。