放送内容

過去の災害に学び、どう備えるか その8

2024年09月04日

[番組で紹介した情報]

(太田)「KBCラジオ みんなで防災!」KBC解説委員の太田祐輔です。
(百市)百市なるみです。

(太田)毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

(百市)今週は「過去の災害に学び、どう備えるか その8」をお送りします。

(太田)過去の災害の記録を掘り起こし、「まさか」ではなく「いつか」発生することを前提に防災に取り組むことを提唱している九州大学工学研究院 環境社会部門の西山 浩司助教のお話をお届けしています。
今週は、過去の災害の掘り起こしとともに西山先生が力を入れている梅雨時期における雨量予測の可能性、そして梅雨時期に大きな災害を引き起こす線状降水帯について、伺います。

(西山)線状降水帯の予測精度がだんだん上がってきていますよね。
観測技術も上がってきているし、あとやっぱり計算機の技術ですよね。
やっぱりそこの向上が大きいと思うのですね。様々に向上しているので、線状降水帯の予測もこれからどんどん良くなっていくと私は想定していますね。
私自身は予測というよりは、線状降水帯の特徴について調べていて、特に九州ですね、圧倒的に線状降水帯の発生が多いのですよ。
AIを使って研究していて、構想天気図みたいなものがあって、それをデータアップして扱って、それを学習させながら、実際、線状降水帯がどこで発生しているのか、どの方向に関しどういう傾向を持っているのかとか、そういった研究をしています。
あと時間帯なんかも結構、研究していてあともう1つはですね、線状降水帯のこういったのを学習させてですね、例えば明日、明後日、線状降水帯が起きやすい天気図なのかとかですね、そういった研究、気象庁の大掛かりな研究とはちょっと違うのですけどね。
誰でもできるような簡単できるようなそういうシステムを今作ろうとやっています。

(太田)九州の線状降水帯の特徴ですが、詳しく教えて頂けますか?

(西山)まず発生場所が、ほぼ九州の西側。東側は、ほぼ発生しません。西で発生して東の方に移動するという特性が多いですね。
線状降水帯というのはご存じの通り、積乱雲の塊なのですね。1個の積乱雲ではないのですよ。たくさんの積乱雲がかたまって、それが線上になっているのです。それがまあ東西方向に並ぶ。東西というか南西からくることもあるのですけど、ほぼ東西の走行を持ったものができやすいということと、あともう1つは時間帯。
それが困ったことに、発生する時間帯が明け方から早朝にかけてなんですよ。つまり、みんなが起床する時間帯なのですね。午前4時とか5時だったらまだ寝ていますよね。
就寝時間帯にもあたるので、就寝時間と起床する時間帯ということになります。みんな寝ていて、起きた時にはもう手遅れになっている可能性があるのですね。
そういった大雨、線状降水帯による大雨がこういった明け方に多いということはやっぱり大きな問題で、線状降水帯は相当雨が降っていますよね。
崩れる寸前になっている状態なので、多分、谷や谷側は溢れているし、道はもう川 みたいになっているし、もう側溝も溢れているし、夜は暗いじゃないですか。
下手すると停電していることもありますよね。下手すると避難している時に被災してしまう可能性もあるのですね。
だから怖いのですよね。そういう時に起こるのですよ。
そういった状況の中でどうやって防災をしていくかっていうところが大きなポイント、特に九州では十分考えておかなければならないポイントだと思います。

(百市)なんとなくいつも明け方とか朝起きるとテレビとかラジオで大雨による被害があったことを知るということが多く感じていましたが、実際に、眠っている時間帯が多いのですね。
でも前もって予測情報が出るようになって、備えられるようになったものの、だからこそその瞬間、その時間帯は、より緊張感をもって過ごさないといけませんね。

(太田)そして予測精度が上がっているけど、完ぺきではないということですよね。予想されていなくても、発生することがある。これもちゃんと覚えておかないといけません。

(百市)KBCラジオみんなで防災
今週は「過去の災害に学び、どう備えるか その8」をお送りしました。
太田さん、来週は?

(太田)西山先生が今後取り組みたいと考えていることについてお話を伺います。

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