新国家資格で変わるペット医療 待遇や制度面に改善の兆し
福岡|
06/09 20:30

大切なペットの命を守ってくれる「動物看護師」は、やりがいの一方で「長時間労働・低賃金」という厳しいイメージもありました。
しかし2023年、国家資格「愛玩動物看護師」が誕生。
これにより、業務内容や待遇が大きく変わろうとしています。
ペット医療の最前線で起きている変化と、未来のプロを目指す若者たちの姿を取材しました。
■「民間資格」から「国家資格」へ

これまで動物看護師の資格は、企業や民間団体が独自の基準で認定する「民間資格」のみでした。
しかし、2023年に国家資格「愛玩動物看護師」ができ、動物看護師の役割と責任は新たなステージへと移行しました。
この変化は、動物医療の現場にどのような影響を与えているのでしょうか。
福岡市博多区にある専門学校「福岡ビジョナリーアーツ」では、多くの学生がこの新しい国家資格を目指して学んでいます。
校内にはカピバラやワオキツネザルなど1400頭以上の動物が飼育されていて、動物園のような環境で実践的な知識と技術を習得しています。
■獣医師の指示のもと採血や投薬も可能に

国家資格化による最も大きな変化の一つが、業務範囲の拡大です。
これまで動物看護師は、採血や投薬といった医療行為は認められていませんでした。
福岡ビジョナリーアーツで講師を務める獣医師の服部良子さんは「(医療行為を)どこまでやって良くてどこまでやってはいけないかがグレーだった」と語ります。
しかし、国家資格化によって、獣医師の指示のもとでこれらの医療行為が可能に。
「医療行為も動物看護師の仕事のうちと明確になった」ことで、獣医師の負担が軽減。
服部さんは「(獣医師と看護師が)お互いに仕事がやりやすくなってくる」と語り、より円滑な「チーム医療」の実現に期待を寄せています。
■待遇改善で長く働ける職場へ

国家資格化は、給与やキャリアといった待遇面にも好影響を与えています。
福岡ビジョナリーアーツのキャリアセンタースタッフ、堺真寿美さんによると、求人票には「資格給で2万円追加」といったケースが見られるようになりました。
長時間労働になりがちで女性が長く働き続けることが難しいとされてきた環境も変わりつつあります。
堺さんは「産休などの制度を整える病院が増えてきている印象」と話します。
実際に、産休・育休制度を充実させ、女性が働きやすい職場環境づくりに力を入れる動物病院も増えています。
■「やりがいを感じながら業務に挑めている」

実際に国家資格を取得し、現場で働く看護師たちは、この変化をどう受け止めているのでしょうか。
福岡県直方市の「ASAP動物病院」で働く安部圭美さんは「できる分野が増えたので、やりがいをすごく感じながら業務に挑めていると思います」と、プロとしての意識の高まりを語ります。
野見山未涼さんも「医療行為により深く関わることになるので、責任感を持って携われるようになったかなと思います」と話します。
■国家資格化が拓くペット医療の新たな地平
「愛玩動物看護師」の国家資格化は、安定して働ける職業として動物医療を底上げすることにもつながっています。
ASAP動物病院の志柿明子代表は「国家資格になり、生活の保証がされるだろうと期待して、進路として選びやすくなったのではないか」と指摘。
「動物医療を担う人材が枯渇していくのを止めた効果があるんじゃないかなと思ってます」と、人材確保への期待を語ります。







