男装の女武士・塾を開く!
2025年12月06日
[福岡県]
興志塾(1)

価値観の揺れや格差など先が見えない不安が募る現代。
実は同じような社会変革が起こった150年前、若者たちに大志を抱かせた私塾が福岡にありました。
「志をもて!己のためでなく世のためにな。」
明治初期、近代日本を形成する人物を数多く輩出した私塾。
その名は、「興志塾」。

興志塾は次世代を担う若者を育成しようと開設されました。立ち上げたのは、高場乱(おさむ)。福岡藩医の系譜に連なる眼科医の次女として生まれました。
しかし、家督を継ぐため男子として育ち、10歳の時には藩から刀を持つことを許されたのです。
幼い頃から勉学に励み20歳の時「亀井塾」に入門、その才能は抜きん出ていました。


明治6年、福岡藩が薬用人参を栽培していた場所に、乱は私塾を開きます。
当時の日本は明治政府の改革によって文明開化に邁進し、身分による差別は無くなったものの、武士が働き口を失い路頭に迷う状況でした。
そこで乱は、「志」を興して、自分と真摯に向き合い、己を確立できる人になって欲しいという想いから「興志塾」を創設したのです。

「住吉村の人参畑塾には、荒くれもんたちを教える女武士がおるげな。」
この噂を聞いて興志塾には、全国から我も我もと入門希望者が押し掛けてきました。