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愛と戒め

2025年04月12日

[福岡県]

與一作・初袷

今から100年前、博多人形を「ハカタ・ドール」の名で世界に知らしめた小島與一。
その出世作には、甘くほろ苦いエピソードがありました。

現在でも最高峰の博多人形師といわれる小島與一。
彼の類まれなる才能が最初に評価されたのは、20歳の時に品評会で出品した「初袷(はつあわせ)」でした。

福岡市博物館・学芸員 佐々木あきつさん
「この初袷は、後に奥様となる「ひろ子さん」をモデルに作られた人形です。ひろ子さんに夢中だった與一さんが、3日間制作に打ち込まれたと聞いています。袷というのは、秋から春にかけて着る、2枚の布を合わせた寒い時期の着物のことですが、初めて袷を着るという初袷の言葉に、與一さんとひろ子さんが初めて会うという意味が込められているのではないかと考えられています。」

與一とひろ子

ようやく完成した初袷。しかし、品評会へ向かう途中、人形の腕が橋の欄干にぶつかり破損してしまうのです。

なんとか修復して品評会への出品を間に合わせた與一。
審査員たちは「初袷」を1等に推しますが、審査員の一人だった與一の師匠・白水六三郎は、腕を修復したことを見抜き2等にしたのです。

それは、女性に溺れていた弱さを戒め、人形師としての研鑽を願う師匠の愛の鞭だったのです。この一件で與一は人形作りに邁進しますが、それでも一緒になりたいと
芸妓だったひろ子と駆け落ち未遂まで起こし、大恋愛の末に結ばれたのです。

こうして腕を高めていった小島與一。
その源は、底知れない探求心でした。

與一の師匠・白水六三郎

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